KADOKAWA Technology Review
×
暗号通貨界は性差別主義?「ブロックチェーンのマドンナ」に聞く
ニュース Insider Online限定
Is the crypto world sexist? That might be the wrong question.

暗号通貨界は性差別主義?「ブロックチェーンのマドンナ」に聞く

今をときめくブロックチェーン業界にジェンダー差別が存在するとの悪評が立っているが、実際のところはどうなのか。JPモルガン・チェース銀行でブロックチェーンのプロジェクトを主導し、5月にはスタートアップを設立した「ブロックチェーンのマドンナ」と異名を取る人物に聞いた。 by Morgan Peck2018.05.23

誰もが暗号通貨を使える。男性であれ、女性であれ、仔馬やトースターであれ、ブロックチェーンにおいてはみんな似たもの同士なのだ。

だが暗号通貨界に、テクノロジーそのものよりもオープン性やインクルージョン(包摂性:差別なく受け入れる包括さ)に欠けるという悪評判が立ってしまった。この1月、最も長く続いているビットコイン関連イベントである北米ビットコイン会議(North American Bitcoin Conference)のプログラムには男性が数十人は入っていたのに対し、女性はたった1人。親睦の時間になると、出席者は地元のストリップクラブに招待されたのだ。

とはいえ、暗号通貨業界をリードする素晴らしい女性たちは、今や数多く存在する。その1人がアンバー・バルデットだ。バルデットは「暗号通貨の女王」とか「ブロックチェーン界のマドンナ」との異名を取る。2015年からJPモルガン・ チェース銀行で、ブロックチェーンの利用方法の開発を担当する部門を運営し、イーサリアム(Ethereum)のビジネス版であるクオラム(Quorum)の開発を監督した。そして2018年5月には、自身がCEO(最高経営責任者)を務めるブロックチェーンのスタートアップ企業、クローヴィヤー(Clovyr)を共同設立した。

仕事において、バルデットは憶説を打ち壊すのを常とする。MITテクノロジーレビューがバルデットに暗号通貨の世界におけるダイバーシティ(多様性)の状況を尋ねたところ、またいくつかの憶説が破壊された。

——暗号通貨のコミュニティはここ数カ月、マスコミで不本意な批評を受けています。権利意識を持つ男性社会そのものだというものです。ジェンダー(性差別)問題を抱えているとお考えですか?

金融やテクノロジー、特に情報セキュリティや暗号のベン図(複数の集合の関係を表す図)を描くと、こういった分野すべてが、女性が不足し、リーダーシップの座において少数派代表であることに苦労しています。暗号通貨は、それらすべてが重なる中心に座しています。新しい研究分野に知的なディアスポラ(離散したコミュニティ)がある場合、その層のプロフィールは元々のグループから継承される傾向があります。暗号通貨は哲学的にも技術的にも新しいかもしれませんが、魔法じみた未開の実力主義社会ではありません。

私の経験では、開発者中心のブロックチェーン・イベントのほとんどの印象は、他の大半のテクノロジーカンファレンスに比べて良くもないが悪くもない、といったところです。「標準的な開発者」のステレオタイプに合わない人は通常、数パーセントの誤差範囲で15%くらいいますが、この割合は最 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Why handing over total control to AI agents would be a huge mistake 「AIがやりました」 便利すぎるエージェント丸投げが危うい理由
  2. OpenAI has released its first research into how using ChatGPT affects people’s emotional wellbeing チャットGPTとの対話で孤独は深まる? オープンAIとMITが研究
  3. An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る