没入型の実質現実(VR)をより本物らしくするには、視覚だけでは足りない。イギリスのあるスタートアップが、実質現実の世界に感情を付加する、いい方法を開発した。
以前にも、外部カメラで顔の各部位の動きを観察し、VRに感情を反映させる方法があった。エムテク(Emteq)が開発した新システムでは、カメラではなく、VRヘッドセット内蔵の小型センサーで人体から生じる電気信号や心拍数、筋肉の動きを計測する。エンジニアリング・アンド・テクノロジー誌によれば、「フェイステク(Faceteq)」システムでは、カメラによる視覚的計測方法より、ユーザーの感情的反応をより幅広く捉えられるという。
システムが検出したユーザーの感情は、実質現実の世界にいるアバターに反映される。ゲームでも職場でも、用途は明確だ。仮想世界で、他のユーザーの感情がわかれば、現実感のレイヤーがひとつ加わるし、もしかすると、ゲームをプレイ中の感情(実は恐怖を感じているなど)まで知られてしまうかもしれない。
VRの現実感を増す手法は他にもある。小さなスタートアップ企業のマイダス・タッチゲームズは、精度をさらに高めた物理エンジンを開発中で、仮想世界内の人間の動きをよりリアルに見せようとしている。また、ドルビーのような音響テクノロジー企業は、3Dサウンドをできる限りリアルにしようとしている。
そのうちVRゴーグルを全く外さずにすむ時代が来るかもしれない。
(関連記事:Engineering & Technology, “The Quest to Put More Reality in Virtual Reality,” “Virtual Reality Actually Feels Real When It Uses Physics”)