YouTubeを見ていると、あっという間に時間がすぎてしまう。誰でもそんな経験が一度はあるはずだ。かわいい猫の動画をちょっと見始めたつもりが、あっという間に1時間が経過し、いつの間にか多数の同様の動画を延々と見続けているのだ。画面の右側に表示されるおすすめの関連動画は、ありがたいことにアルゴリズムが選んでくれたものだ。
フェイスブックやツイッターのようなソーシャル・ネットワークを使っていると、ユーザーを操るためにありとあらゆる方法でアルゴリズムが利用されているのがだんだん分かって来る。頻繁に表示されるコンテンツがあるかと思えば、あまり表示されないものもある。かわいい子猫の動画を探している分には別段構わないし、むしろ楽しいと言える。しかし、ほかの話題についての動画を見る場合には、下手をすると、恐怖心、陰謀論、一面的な考え方にとらわれてしまう危険性がある。たとえば、ワクチンとか、最近の学校での発砲事件、気候変動などに関する動画がそうである。
YouTubeでは、10億人を超えるユーザーが1日に合計10億時間以上、動画を視聴している。動画の視聴回数のほか、「高く評価」または「低く評価」がいくつ付いたかといったデータも表示されるが、それぞれの動画をどのくらいの頻度でユーザーに推薦したかといったような詳細については隠されている。すべての情報が示されなければ、YouTubeのアルゴリズムがどのようにユーザーをある特定の方向へ導こうとしているのかを正確に理解するのは難しい。
ギヨーム・シャスロ博士は、以前しばらくの間YouTubeのレコメンド・システムと、親会社グーグルの宣伝広告の表示を担当していたコンピューター・プログラマーだ。シャスロ博士はユーザーを操作するようなレコメンド・システムは問題だと考え、動画が推薦される仕組みにもっと透明性を持たせようと奮闘している。シャスロ博士が立ち上げた「アルゴトランスペアレンシー(AlgoTransparency)」というWebサイトでは、YouTubeのおすすめ動画を追いかけていくと、どこにたどり着くのかがわかるようになっている。検索する動画は最近の選挙や大量射殺事件、科学、いくつかの一般的な話題でもよいし、追跡調査するためにシャスロ博士が選りすぐった関連検索用語でもよい。
「YouTubeを使い始めるのであれば、YouTubeによって自分 …