SF(サイエンス・フィクション)は、科学に興味や関心を持つきっかけとなり、ブレークスルーのヒントになることを多くの研究者が認めている。実際、SFに登場したテクノロジーが後に現実となった例は数多く存在する。
英SF作家のアーサー・C・クラークが1945年に、人工衛星を使って電波信号を中継する長距離無線通信について記述したことは有名だ。地球を周回する人工衛星が初めて打ち上げられるかなり前のことだ。現在、通信衛星は普及している。
米SFテレビドラマ・映画の『スタートレック』に登場する通信機や、米コミック『ディック・トレイシー』に登場する腕時計型の映像通信機は、現在のスマホやスマート・ウォッチと非常に良く似ている。また、SF映画・小説『2001年宇宙の旅』やSF映画『ブレードランナー』には、人間に反抗的なさまざまなロボットが登場する。人間が回避したいと切に願うロボットだ。一方、テレビシリーズ『ナイトライダー』に登場する自動運転車K.I.T.T.(キット)は、今やSFではなく現実のものとなった。
SFがサイエンス・ファクト(科学的な事実)へ及ぼす影響力を数値化するのは困難だ。実際、テクノロジストはフィクションがどのように新技術開発に影響を与えるのか詳しく解明したいと考えている。
米ハワイ大学のフィリップ・ジョーダンたちの研究グループのおかげで、現在、解明の可能性が見え始めている。ジョーダンたちのグループは、ヒ …