ヒトの胚性幹細胞(ES細胞)の薄膜で作られた眼のインプラントが、多くの人が患う失明の治療に効果を発揮する可能性がある。
南カリフォルニア大学の研究者らは、無菌室で1カ月間幹細胞の薄膜を培養し、その後その薄膜を「乾燥型」加齢黄斑変性を患う4人の眼に挿入した。乾燥型加齢黄斑変性は発展途上国において失明の主な原因となっている。2020年までに世界中で推定1憶9600万人の人々が、何らかの形の加齢黄斑変性を患うと考えられている。
乾燥型の加齢黄斑変性患者は、網膜色素上皮の薄化が進行しやすくなっている。網膜色素上皮とは、光を感知する光受容細胞を支えて栄養補給をしている細胞層である。この極めて重要な細胞層がなくなると、光受容細胞も衰退し、人々は徐々に視力を失っていく。南カリフォルニア大学が研究している眼のインプラントは、この網膜色素上皮の代替とすることを意図している。
インプラントの施術をした4人の患者を1年間にわたって調べた結果、視力が減退していないことがわかった。
今回の研究はインプラントの安全性をテストする目的があったので、加齢黄斑変性の非常に進行している患者だけを対象とした。そのため、 …