レイチェル・トーマスは、誰もが人工知能(AI)人材として加わることを求めて、実際に実現しようとしている。
3月27日にサンフランシスコで開催されたMITテクノロジーレビューの年次カンファレンス「EmTechデジタル」で、ファストAI(Fast.ai)のレイチェル・トーマス共同創業者は、AIは考えられているほど近付きがたいものではないと主張した。ファストAIは、深層学習に関する無料講座を提供している企業だ。
ステージに上がったトーマスは、博士号や大規模なデータ・セット、高価なコンピューティング能力へのアクセスといった、AIの世界で働くために必要とされる要件はステレオタイプであるとの見方を示した。こうした要件に反する事例の1つとして紹介したのが、トーマスの生徒の一人が作成したニューラル・ネットワークだ。このニューラル・ネットワークは、30個のデータポイントさえあれば十分な訓練ができるという。トーマスはまた、1時間あたりのわずか45セントで利用できるクラウドベースの画像処理装置(GPU)の有用性についても言及した。
「人工知能(AI)を使うことへの障壁は、みなさんが思っているよりも低いかもしれません」とトーマスは呼びかける。
シリコンバレーの範囲外の問題に取り組むAIを作成するには、多様な観点が不可欠だ。 トーマスは、ヤギの乳房の健康状態をよりよくモニターするアルゴリズムを開発するためにファストAIの講座に申し込んだ、ある農業従事者の実例を詳しく話した。
「他の誰も知らない問題について知っているのは、あなたなのです」。
トーマスは、AIの世界がより多くの多様性を持つことは、現在、AI産業を悩ませているバイアスや公平性の問題についても役立つと考えている。 チームの多様化が進めば、 黒人を「ゴリラ」 に分類するグーグルの写真アプリや、 プロパブリカによって発見された保釈決定で使われているアルゴリズムに含まれる暗黙の人種差別などの問題を防げると考えている。
「AIの領域は少し近づきにくいものだと思われていますが、みなさん全員がAIの世界に参加してくれることを本当に必要としているのです」。