バイドゥが自社製モバイル翻訳機の処理速度の高さを、米国で初めて披露した。3月27日にサンフランシスコで開催されたMITテクノロジーレビュー主催の年次カンファレンス「EmTechデジタル」の午後のプレゼンテーションでのことだ。
中国のインターネット巨大企業であるバイドゥは、2015年以降、機械言語翻訳の性能向上の面で飛躍的な進歩を積み重ねている。人工知能(AI)の先進技術である深層学習を活用しているのが秘訣だと、バイドゥのフア・ウー主任研究員は語った。ウー主任研究員は自然言語処理を専門としている。
ウー主任研究員は壇上で、インターネットに接続したモバイル翻訳機を用いて、MITテクノロジーレビューのウィル・ナイト上級編集者と交わした短い会話をほぼ瞬時に翻訳してみせた。ナイト上級編集者の質問を難なく通訳してのけたのだ。たとえば、「このデバイスはどこで購入できますか」「機械が人間に取って代わるのはいつになるのでしょう」といった質問を標準中国語に翻訳し、それに対するウー主任研究員の回答を、多少機械訛りはあるものの明瞭な英語に直して返した。
(しかし、ナイト上級編集者独特のつたない中国語を認識するのは、現在のところ困難なようだ)
このモバイル翻訳機はクラウド上のバイドゥ製翻訳ソフトウェアを利用するもので、無線LANのWi-Fiルーターとしての機能を兼ね備えている。現在のところ英語、中国語、日本語のみに対応する。バイドゥがこの翻訳機を開発した主な目的は、外国の都市を旅行者が簡単に動き回れるようにするためだ。バイドゥがこの製品を発売したのは昨年12月だ(日本でのプレスリリースはこちら)。現時点では、中国国内の旅行代理店や空港でリースという形でしか利用できない。
対応言語とサービスが利用できる国・地域は今後増える見込みである。