トッププレイヤーに聞く
「eスポーツ選手」という
新しい仕事
世界トップクラスのプロゲーマーは、賞金だけで160万ドルを稼ぐ。デジタル時代の新しい職業である「eスポーツ選手」が生まれようとしている。 by Erin Winick2018.04.03
DOTA 2のゲームを初めて目にする人は圧倒されてしまうかもしれない。アニメーションするキャラクター、特殊効果、それにバトルに続くバトルで画面が溢れかえっているからだ。すべてのアクションから目を離さずにいるのは難しいかもしれない。
だが、クレモン・イヴァノフがDOTA 2を見る目は異なっている。イヴァノフはそれぞれのキャラクターを、チェスのようなゆっくりとした動きの戦略ゲームに出てくる駒として見ているのだ。「プレイヤーはそれぞれのキャラクターを個別に操作しますが、チームにはその潜在能力を理解している人が必ず1人います」とイヴァノフはいう。「ペースの速いゲームではありません。一定のレベルに達すると、反応時間よりも戦略の方が重要になります」。
https://www.youtube.com/watch?v=T2s8ifAKHrs
DOTA 2は正式には「Defense of the Ancients 2」と呼ばれ、世界的なeスポーツの中でも特に人気のあるゲームの1つだ。ゲーム開発元であるValve(バルブ)が主催する世界選手権「ジ・インターナショナル(The International)」は昨年、9200万人以上がオンラインで視聴した。視聴者の大半が中国在住者で、合計5億900万時間以上のプレイが視聴された中で、実に4億6500万時間が中国の視聴者によるものだった。
プロのゲーマーとして生計を立てる
エストニア在住のイヴァノフ(28歳)は、プロゲーム界ではPuppey(パピー)という別名の方が知れ渡っている。チーム・シークレット(Team Secret)のキャプテンだ。世界で特に稼いでいるDOTA 2プレイヤーの1人で、2010年にプロに転向した。イヴァノフのキャリアにおける成長は、eスポーツ全体の成長と動きを共にしている。賞金サイト「eスポーツ・アーニングス( E-Sports Earnings)」によると、イヴァノフは93のトーナメントで合計165万ドルを超える賞金を獲得。 調査会社スーパーデータ(SuperData)によると、eスポーツ市場はブームによって2017年に15億ドルにまで成長しており、2024年オリンピックの公式競技としても検討されているほどだ。トップクラスのゲームプレイヤーであるイヴァノフは結果的に、そのニッチな世界でスターの地位に駆け上った。「この仕事は本当に趣味なので、奇妙なキャリアですね」とイヴァノ …
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