データ利用規約違反により、フェイスブックから追い出されたデータ・マイニング企業、ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)を取り巻くスキャンダルはますます大きくなりつつある。3月19日には同社のアレクサンダー・ニックスCEO(最高経営責任者)の謀略活動が英国のテレビ番組で紹介され、スパイ、罠、フェイクニュースを使って選挙に影響を及ぼす方法を誇らしげに語るニックスCEOの姿が放送された。英国で個人情報保護を管轄する情報コミッショナー事務局(ICO)のエリザベス・デナム委員長は、ケンブリッジ・アナリティカのサーバーとデータベースを調べるため、裁判所命令を要請した。
同日、フェイスブックは、デジタル・フォレンジック(デジタルデータの保全・復元・解析)企業を雇ってケンブリッジ・アナリティカが英ケンブリッジ大学のアレクサンドル・コーガン教授(心理学)から入手したといわれるデータを現在も保存しているかどうかを調べさせると発表した。コーガン教授は数年前に研究目的でフェイスブックのプラットホームへのアクセス権を入手していた。コーガン教授はそのアクセス権を利用してフェイスブック・ユーザー約5000万人の情報を収集した。この件を内部告発をしたケンブリッジ・アナリティカの元従業員であるクリストファー・ワイリーとコーガン教授は、フェイスブックのアカウントを停止された。
この事件と、2016年の米国大統領選挙でドナルド・トランプ大統領を勝利に導くためにケンブリッジ・アナリティカのデータがどのように利用されたのかをめぐる事後分析が今や最高潮に達している。これはフェイスブックの混乱にさらに輪をかけるだろう。フェイスブックは、1日に370億ドルもの時価総額を失い、さらにアレックス・スタモス最高セキュリティ責任者(CSO)も失うかもしれない。スタモスCSOは、ロシアがフェイスブックを利用して偽情報を拡散したことに関し、フェイスブックのあるべき透明性について経営トップと衝突したと伝えられている。
きわめて重要な懸念の1つは、フェイスブックを巡る一連の出来事によって、現在、ソーシャル・ネットワークが生活に及ぼしている巨大な影響力に焦点をあてて分析しようとしている研究者の努力が阻まれる可 …