グーグルの研究員は、2017年末までに、現実に処理能力の高い量子コンピューターを発表する可能性がある。
グーグル自身は、発表時期について固く口を閉ざしているが、ニュー・サイエンティスト誌の記事によれば、量子コンピューター分野の多くの研究者は、グーグルの研究チームが遠からず、恐らく世界初の量子デバイスを完成させそうだと推測している。理化学研究所創発物性科学研究センターのサイモン・デビット研究員はニュー・サイエンティスト誌に「グーグルのチームは他を引き離しています」と語った。
ニュー・サイエンティスト誌の新たな記事は、MIT Technology Reviewが昨年グーグルのハードウェア研究所を訪れた後に報じた内容を裏付けている。
グーグルが、従来型のコンピューターの性能をしのぐ量子コンピューターを開発し「量子超越性(quantum supremacy)」と呼ばれる概念を実証しようと奮闘しているのは、周知の事実だ。グーグルは(少なからぬ議論はあるものの)、D-Wave(カナダ)の量子コンピューターの有用性を確認し、2014年には量子チップ開発のために、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の高名な物理学者ジョン・マルティニス教授を迎え入れた。さらに最近では、強力な量子コンピューターの構築は、従来考えられていたよりも簡単かもしれない、とする研究結果を発表した。
デビット研究員を始め、グーグルの研究の進捗状況に詳しい研究者は、正常に作動する50量子ビットの量子チップ(特定の種類の計算では、従来型のスーパー・コンピューターを上回る)が、2017年末までには完成すると見ている。
量子超越性を実証することは、コンピューティング・テクノロジーの歴史の大きな転換点になる。最初の量子デバイスはあまり実用的ではないだろうが、デバイスが完成すれば、本格的な量子コンピューターを開発する巨額の投資が始まるのは、ほとんど間違いない。量子コンピューターは、ほとんどあらゆる種類の計算処理において、現在のスーパー・コンピューターを駆逐する性能を持ちうるのだ。
(関連記事:New Scientist, “Google’s Quantum Dream Machine,” “Google Reports Progress on a Shortcut to Quantum Supremacy”)