CFIUSを「究極の規制バズーカ砲」とある金融アナリストは呼んだ。そして現在、米国テック業界史上最大の買収提案がその標的となっている。
対米外国投資委員会、すなわちCFIUS(SIF-ee-usと発音)は、シンガポールのブロードコムによる米国のチップ製造会社クアルコムへの1170億ドルの入札を調査している。吸収合併の結果が望ましくないと思われる場合は、取引はおそらく阻止されることになる(日本版注:3月12日、米トランプ大統領はCFIUSの勧告に基づき、ブロードコムに対して買収中止を命じた)。
CFIUSは、海外企業による米国企業の買収が、国家安全保障上の脅威となるかどうかを判断する組織で、業界に関わらず取引を徹底的に調査できる。だがここ数年はテック企業の取引が増大しており、とりわけ中国関係が目立っている。
CFIUSがどのように機能し、ブロードコムがなぜ取引の承認を得るのに困難をきたしているのかを探ってみた。
委員会の顔ぶれ
ワシントンDCの大物が大勢揃っている。CFIUSの委員長は米財務長官が務め、委員会には数々の政府機関のトップが含まれる。たとえば国防省、国土安全保障省、商務省、エネルギー省、さらに米国通商代表部、ホワイトハウスの科学技術政策室などだ。さらに委員会は情報機関や他の団体からの情報も受け取る。
CFIUSはどのくらい多忙なのか?
最近の話なら、それはもう非常に忙しい。CFIUSは2016年に172件を調査したが、これは201 …