ブロックチェーンを利用するコンピューター・プログラムが金融システムを揺るがしている。しかし、スマート・コントラクト関連技術の大げさな宣伝の多くは、まさしく誇大広告になっている。スマート・コントラクトはまったく新しい分野である。テクノロジストたちは、利用者のお金を失わずに、信頼して使えるスマート・コントラクトをいかにして設計するかがようやくわかり始めたところだ。同様に、イーサリアム(Ethereum)のスマート・コントラクトに関する新たな調査は、セキュリティ研究者がようやく、スマート・コントラクトの脆弱性に見当を付け始めた段階であることを示している。
スマート・コントラクトはいわば、デジタル自動販売機である。「スマート・コントラクト」という用語は、デジタル通貨の草分け的存在であるニック・スザボが20年以上前に作り出した(ニック・スザボはビットコインの開発者であるサトシ・ナカモトだという説がある)。スザボによると、スマート・コントラクトとは、「多種多様な契約条項(担保や契約、財産権の説明など)を人々が取り扱うハードウェアやソフトウェアに組み込むことができ、契約に違反した者に対して多額(必要に応じて法外な額)を支払わせるための仕組み」というのが基本的な考え方だ。スザボは、実際の自動販売機を「スマート・コントラクトの原始的な祖先」と呼んだ。自動販売機は硬貨を受け入れ、商品を販売し、表示価格に応じた正確な釣り銭を出すからだ。
そこにブロック …