ここ数十年間ですべての電力を太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー源でまかなうことを義務付ける法案を提出し、成立した米国の市や州が増えている。
素晴らしい考えのように思えるかもしれない。だが、そうではないことを示す証拠も増えつつある。
100%再生可能エネルギー源に固執するのは、無駄にお金がかかり、達成を不必要に困難なことだとする報告が相次いでいるのだ。原子力発電所や二酸化炭素回収技術を使った化石燃料発電所のような、温室効果ガスを排出しない他のエネルギー源を見下すのはやめようというわけだ。
最新の証拠の1つとして、『エネルギー&環境科学(Energy & Environmental Science)』誌に掲載された研究がある。研究によると、太陽光発電と風力発電のエネルギーだけで米国の年間電力需要の約80%を確実に満たすことは可能だという。しかしそのためには、大規模停電を防ぐためのエネルギー貯蔵と送電に膨大な投資が必要となる。再生可能エネルギー源で需要を100%満たすようにするには、膨大な数の風力発電所と太陽光発電所を増設するか、電力貯蔵設備を拡張する必要がある。あるいは両方が必要になるかもしれない。現在の価格では膨大な費用がかかるだろう。
根本的な問題は、太陽は常に照っているわけではなく、風も常に吹いているわけではないということだ。研究では、36年分に相当する1時間ごとの気候データを分析し、大陸規模でさえ再生可能エネルギーの生産に格差があることを見い出した。
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