ドナルド・トランプ大統領が2月に署名して成立した法律に対する予算案は、排出された二酸化炭素の回収・貯蔵に対する非常に大きなインセンティブをもたらす内容となっている。
法律が成立してからエネルギー研究者たちはそろばんを弾いてきた。そして今回の税額控除の拡大により、多くのプロジェクトで長らく採算が合わないとされてきた二酸化炭素貯留テクノロジーが、ついに日の目を見る可能性が出てきたとの結論に達した。
今回の規定により、発電所の改良にかかる莫大な費用を完全にまかなえるわけではないが、支出額が減るのは間違いない。以前は非常に困難だった二酸化炭素排出源からの排出量を、すぐにも削減できる可能性がある。その排出源とは産業部門であり、米国の温室効果ガス排出のかなりの割合を占めている。
「今後数年内に、何十もの二酸化炭素貯留プロジェクトが誕生すると思います。税額控除の拡大がなければ、こんなことは起こらないでしょう」と非営利団体「エネルギーの未来のためのイニシアチブ(Energy Futures Initiative)」のフリオ・フリードマン博士はいう。フリードマン博士は以前、米国エネルギー省の化石エネルギー局で第一副次官補を務めた人物だ。
エネルギー研究者のほとんどが、二酸化炭素の回収・貯蔵こそが、拡大しつつある気候変動の脅威への現実的な対応策のカギになると考えている。複数の研究結果によると、二酸化炭素の回収・貯蔵テクノロジーが実現しなければ、地球の気温が2 ˚C以上上昇するのは避けられない可能性があるという( 「二酸化炭素を完全に回収、「未来の火力発電所」が間もなく稼働」を参照)。
今回の税額控除は、発電所や工場から排出される二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収テクノロジーに等 …