KADOKAWA Technology Review
×
パリ協定目標値から
1°Cのずれが招く
異常気象の恐怖
Scott Olson | Getty
カバーストーリー Insider Online限定
Missing the Paris climate target by just a little means raising the odds of extreme weather by a lot

パリ協定目標値から
1°Cのずれが招く
異常気象の恐怖

地球温暖化を阻止するためのパリ協定の目標値をクリアすることが難しい状況になってきている。もし今後、地球の平均気温がパリ協定の目標値を1℃上回ると、記録的な熱波や豪雨、干ばつなどが世界各地でこれまでの何倍もの確率で起こる可能性がある。 by James Temple2018.03.06

歴史に残るパリ協定の崇高な目標は、地球の気温が2 °C上昇するのを食い止めることであった。しかし、世界がその目標を達成する可能性はますます低くくなっているようだ(「地球温暖化の最悪シナリオの現実性が高まる、米研究所が検証」を参照)。

いくつかの研究によると、すべての国が誓約通りに温室効果ガスの排出量を低減させたとしても(このこと自体すでに大いに疑問だが)、全世界の平均気温は今世紀中に3 °C近くも上昇する見込みだという。

その差1 °Cがどんな違いをもたらすのか? それは大きな違いなのだ。史上かつてない激しい熱波や豪雨、干ばつの発生率が、地球上の非常に広範な地域で3倍から5倍となる。そのような研究結果が2月14日付けのサイエンス・アドバンス誌(Science Advances)に掲載された。

昨年は米国において、異常なハリケーンや山火事の被害が目立った。より激しい異常気象災害が、以前よりも頻繁に発生し、死 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. What’s on the table at this year’s UN climate conference トランプ再選ショック、開幕したCOP29の議論の行方は?
  2. This AI-generated Minecraft may represent the future of real-time video generation AIがリアルタイムで作り出す、驚きのマイクラ風生成動画
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る