フェイスブックの
子ども向けメッセンジャーが
心配な本質的な理由
フェイスブックが12月に米国でリリースした子ども向けアプリが物議を醸している。ペアレンタル・コントロールがあるとはいえ、中身は通常のフェイスブック・メッセンジャーと同じだからだ。ソーシャルメディアが子どもたちに与える影響が十分に明らかではない中、フェイスブックの取り組みは大規模な社会実験になる可能性がある。 by Rachel Metz2018.03.02
あなたはフェイスブックを信頼して子どもに与えられますか?
そんな質問が、世界最大のソーシャル・ネットワークが初めて出す子ども向けアプリ「メッセンジャー・キッズ(Messenger Kids)」のリリースによって保護者につきつけられている。メッセンジャー・キッズは、フェイスブックのチャットアプリ「メッセンジャー(Messenger=フェイスブック本体と同様、対象年齢は13歳以上)」の子ども版だ。メッセンジャー・キッズによって、フェイスブックは大手ソーシャル・ネットワークとして初めて13歳未満の子どもに特化したアプリを提供することとなる。
この動きはある意味で当然と言える。今やチャットアプリは広く普及しており、子どもたちの手から遠ざける必要はあるのだろうか? むしろ、保護者がネット上でのマナーを教えるいい機会になるかもしれない。
さらに、10代のユーザーがスナップチャット(Snapchat)、ツイッター(Twitter)、キック(Kik)などの競合アプリにますます夢中になっているフェイスブックにとって、このアプリの開発は必然的だ。メッセンジャー・キッズによって、フェイスブックは若いユーザーを自社のブランドに惹きつけられる。
メッセージャー・キッズは、フェイスブックへの初期の投資家であるショーン・パーカーや元幹部を含む多数の人々によって指摘されているフェイスブックの操作力に関する懸念への対策の1つでもあるようだ。物議を醸している実験によって、ニュースフィードを調整することで人の気分を変えたり、政治投票の可能性を変えたりできることが証明されている。さらに、前回の米国大統領選挙キャンペーン中、ロシアが支持する政治的コンテンツが1億2600万人のアメリカ人フェイスブックユーザーに表示されたことを同社は認め、このプラットホームがいかに簡単に乱用され得るかが露わになった。
フェイクニュースに対する懸念を緩和するため、フェイスブックは最近、通常のフェイスブックユーザーに表示する企業やニュースメディアの投稿数を減らし、友達の投稿を増やすことを発表した。新しいアプリにより、子どもにとって安全だという空間もまた作ったことになる。メッセージャー・キッズの主な機能は、保護者が承認した友達や家族とのメッセージのやりとりやビデオチャットで、スタンプや動画マスクなどの面白い機能も含まれている。
だが、自分の子どもがメッセージャー・キッズを使用することを望むだろうか? といえば、私はフェイスブックの交際ステータスにある「複雑な関係」だと答えるだろう。子どもが徐々にソーシャルアプリに慣れる機会を得るのはいいことだが、その機会がフェイスブックである必要は必ずしもない。
子どもとアプリ
ずいぶん前から、米国の連邦法違反を防ぐため、大手ソーシャル・ネットワークは単純に13歳未満は誰でも登録を拒否する規則を設定している。児童オンライン・プライバシー保護 …
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