テキサス州オースティンで2月4日に開催されたバイオハック会議。ステージに登場したアーロン・トレイウィックは、ズボンを下ろした。自身がCEO(最高経営責任者)を務めるバイオテック企業、アセンダンス・バイオメディカル(Ascendance Biomedical)が作った実験的なヘルペス治療薬を太ももに注射したのだ。
この模様はすべてフェイスブック・ライブで中継された。科学というよりパフォーマンスアートのようであり、自己実験に興味を持っている会場いっぱいの人々でさえ、半信半疑の面持ちであった。
今回のトレイウィックCEOの行動は、バイオハッカーによる自己投与の最新の一例だ。バイオハッカーはほとんど医療経験が無いにもかかわらず、インターネットで入手したDNA鎖から治療薬と称するものを作り出している。
複数の専門家はこうした治療方法は効果が疑わしく、むしろ危険でさえあると呼びかけている。米国食品医薬品局(FDA)は昨年11月、「DIY」遺伝子治療薬に対する警告を出した(「DIY遺伝子療法キットは「違法」、 FDAとバイオハッカーが対立」を参照)。
28歳になるトレイウィックC …