温室効果ガスの排出を速やかに減少させ、壊滅的な気候変動を回避できなければ、地球工学は気候変動対策の予備プランとなるかもしれない。地球工学に真剣に取り組む研究者たちは、さまざまな方策をますます考案しつつある。たとえば微小な粒子を空気中に散布し、より多くの太陽光を大気圏外に跳ね返す方法は温室効果ガスの排出を直接減らすものではないが、地球の気温上昇を相殺できるかもしれない。
ネイチャー・エコロジー&エボリューション誌で1月22日に発表された論文は、地球工学の問題点を提起している。この論文では地球工学を一旦開始すれば、それを止めるのはあまりにも危険が大きすぎると警告している。
問題は、故意に地球を冷却することは、温室効果ガスによる温暖化を一時的に覆い隠しているだけだという。つまり、もし世界が仮に50年後、地球工学を中止することにした場合、それまでに累積された温室効果ガスの影響によって極めて急速な温暖化が地球にもたらされることになるという。
そうなれば、地球上の多くの地域で、平均気温が2〜4倍の速度で上昇するだろうと、この研究は指摘している。大多数の植物や動物にとってその変化はあまりにも急速なため、新しい地域への移動が間に合わず、生態系が崩れ、動植物の種を絶滅に追いやることになる。さらにアマゾン川や北欧、アジアなどでは降水量が減少し、熱帯雨林の自然火災の頻度と規模が増す可能性もある。
科学者の中には、こうしたリスクは「ダモクレスの剣」であり、地球工学のアイデアを真剣に考えることを阻んでいると異議を唱える人もいる(「A Cheap and Easy Plan to Stop Global Warming」を参照)。
だが、「地球工学 …