シアトルのダウンタウンにあるアマゾンのオフィスのほど近くにある小さな食料雑貨店。ここでは、客は欲しいものを手に入れるとそのまま出て行く。あとから誰かが叫びながら追いかけてくる様子もない。
これが、オンライン小売り業の巨人アマゾンが描く未来の実店舗「アマゾン・ゴー(Amazon Go)」だ。レジ係もレジ自体もない。その代わり、スマホのアプリと天井に設置された多数の普通のカメラと赤外線カメラ(黒塗りの天井に黒のカメラなので目立たない)、さらにコンピューター・ビジョン・アルゴリズムと機械学習によって、客が選んだものを判断し、アマゾン・アカウントに登録されたクレジット・カードに請求する。
これまでのところはまだ実験段階だった。過去1年に渡ってアマゾン本社の従業員たちが、ラップに包装されたサンドイッチやポテトチップス、ヨーグルトを手にして、この実験に参加してきた。アマゾンはこれまでありとあらゆる商品をオンラインで販売することに専念してきたが、2017年にホール・フーズ(Whole Foods)を買収したことからも分かるように、オフライン市場にも関心を向けつつある。人工知能(AI)を駆使してオンライン、オフラインの相互のデータを分析し、ショッピングに対するアプローチを進化させようとしているのだ。
アマゾンは計画を次の段階へ進めようとしている。1月22日から店舗を一般にも解放し、誰でもシアトルのダウンタウンにある店舗にアマゾン・ゴー・アプリでチェックインすればショッピングができるようにした。ゆくゆくはこうした店舗をさらにオープンしていきたい、とアマゾン・ゴ …