グーグル、タクシーのドアは
自動開閉が便利と気付く
自動開閉式のドアは、自律運転型タクシーの必須機能かもしれない。 by Tom Simonite2016.08.25
アルファベット(グーグルの親会社)は最近、クライスラーとの協業で100台の自律ミニバン軍団を編成すると発表して多くの人を驚かせた。最先端のロボット工学テクノロジーと、地上のあらゆる車種で一番つまらないと思われている車種の組み合わせに、奇妙な印象があったからだ。
アルファベットのプロジェクトに所属しているハードウェア設計者ダニエル・ローゼンバンドが23日、フィアットのミニバン「パシフィカ」(電動開閉式のドアがついている)がなぜ好適なのかの理由を説明した。ローゼンバンドが半導体業界のカンファレンスHot Chipsで聴衆に述べたのは、アルファベットには、ユーザーが期待する自律走行タクシーの乗車体験を実現する必要がある、ということだ。
「私たちが気付いたのは、自動運転車から降りる時、乗客は、ドアを閉めることまで自動運転車がすると期待することです」

自律自動車は、ドアの自動開閉機能がないと乗客が慌ててドアを閉めずに去ってしまったとき、立ち往生してしまいかねない。出発前にどうにか人間の助けを求めて、ドアを閉めてもらう必要があるのだ。
ドア問題は、自律走行タクシー軍団を結成したいアルファベットなどの企業に、設計や乗車体験などで対処すべき課題がまだ多くあることを示している。現在の自動車は、人間による完全制御を前提として設計されている。また、利用者が自動運転車の運輸サービスにどのような体験を期待しているのかも不明なままだ。
ウーバーも同様の難題に取り組もうとしている。ウーバーは先週、ピッツバーグ(ペンシルベニア州)での一部の乗車リクエストに、試作型自動運転車(安全要員としてドライバーが運転席に同乗する)で対応することを発表した。
ウーバーは実証実験により、自動運転車の乗客がどう感じるのか、興味深いデータを得られる。ウーバーの設計担当役員は「目標は車内から運転手を排除することです」とBloombergで述べた。
ただし、ウーバーは、アルファベットのローゼンバンドがいう、ユーザーが期待する自動運転車の体験に応えられないだろう。ウーバーが実験で用いるボルボのSUVは、ドアの開閉が手動式なのだ。
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クレジット | Photograph courtesy of Alphabet |
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- トム サイモナイト [Tom Simonite]米国版 サンフランシスコ支局長
- MIT Technology Reviewのサンフランシスコ支局長。アルゴリズムやインターネット、人間とコンピューターのインタラクションまで、ポテトチップスを頬ばりながら楽しんでいます。主に取材するのはシリコンバレー発の新しい考え方で、巨大なテック企業でもスタートアップでも大学の研究でも、どこで生まれたかは関係ありません。イギリスの小さな古い町生まれで、ケンブリッジ大学を卒業後、インペリアルカレッジロンドンを経て、ニュー・サイエンティスト誌でテクノロジーニュースの執筆と編集に5年間関わたった後、アメリカの西海岸にたどり着きました。