遺伝学をビッグデータの新時代に飛躍させようとする取り組みとして、製薬会社6社が2020年までに50万人の英国人の遺伝子情報を解読し、データをすべて公開すると発表した。
この計画は、DNAサンプルの供給源であるUKバイオバンク(UK Biobank)を、遺伝子と健康に関するデータの世界の一大集結地にして、病気を解明するための強力なツールを科学者や製薬会社に提供しようというものだ。
UKバイオバンクはすでに宝の山だ。公開データベースには、英国内50万人のボランティアから慎重に集められた医療記録、検査結果、心理アセスメントが含まれている。
昨年7月のデータの大規模公開の第一弾は、情報提供者のプライバシーを守るために匿名化されたが、科学者たちを感動させた。マウスのクリックだけで、糖尿病からテレビ視聴習慣まですべての遺伝的基盤を調べられるのだ。
しかし、このビッグデータに含まれる遺伝子データは限られている。今回は、配列解析作業をするコンソーシアムが、各ボランティアの約2万の遺伝子すべてを解読する予定だ。こうした「エクソーム」の配列解析は、完全なゲノムの解読には至らないが、医薬品メーカーにとって最も重要な部分を捕らえることができる。それは生命の構成要素となるタンパク質の遺伝子配列であり、この部分がゆがんだ状態になると、多くの健康問題を引き …