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二酸化炭素排出量削減に
「直流」がいま重要な理由
Adani
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How to Get Wyoming Wind to California, and Cut 80% of U.S. Carbon Emissions

二酸化炭素排出量削減に
「直流」がいま重要な理由

米国最大の風力発電所が成功する鍵を握るのが、高電圧直流送電線の整備だ。決して華やかではない、一見すると地味な送電事業の成功が、二酸化炭素排出力削減に大きな効果をもたらす可能性がある。 by James Temple2018.03.01

ワイオミング州ローリンズから南へ数キロメートル行ったところにある大陸分水嶺の東にある牧牛場で、風力発電施設のための道路や基礎の工事が始まっている。最終的には1000基の風力タービンが稼働する予定だ。このチョークチェリー/シエラ・マドレ風力発電所計画が完成すれば、1200万メガワット時の発電ができる米国最大の集合型風力発電所となる。

だが、これだけの電力を必要とする地域まで、どうやって送るのだろうか?

プロジェクトを進めているデンバーの企業は、米国西部を横断する約1200キロメートルの高電圧直流送電線を引くために、送電鉄塔を多数建設する予定だ。送電線が完成すれば、ワイオミング州の風力で発電した3000メガワットもの電力をカリフォルニア州、ネバダ州、アリゾナ州などの電力需要地へ送電できる。反対に、ワイオミング州の夕方に吹く強い風とカリフォルニア州の昼間の明るい日光をうまく相殺できれば、この送電線を使ってカリフォルニア州の太陽光発電をワイオミング州で活用できるかもしれない。

30億ドルの建設費をかけるトランスウエスト・エクスプレス送電計画は、米国における数少ない直流送電線の1つで、計画段階にある最も進んでいるプロジェクトだ。このプロジェクトは、高容量送電線の重要性や再生可能エネルギーの可能性を強く訴えている。

送電事業は華やかなものではない。長い送電線と高い鉄塔があるだけの基礎的なインフラだからだ(「ブロックチェーンが引き起こす、送電網の抜本的変革」参照)。

だが多くの研究機関が、直流送電線を全米に張り巡らせれば、米国の電力の大部分を再生可能エネルギーに代え、最も安く、早く、効率的に温室効果ガス排出量の削減が実現できるだろうと結論づけている。

一方で、直流送電線の架設には、驚くほど時間とコストがかかる。トランスウェスト計画が最初に提案されたのは2005年だが、最終的な認可が下りて、2018年末に土砂を運び出し始められれば良い方だろう。

こうしたプロジェクトの全体を指揮監督する単一の行政機関はないため、連邦、州、郡、市にまたがる土地を使用する場合には、それぞれが管轄する区域の1つ1つの認可をプロジェクトを進める企業が取らなければならない。結果として、管轄の異なる土地を利用した送電線が建設されることはほとんどない。

大規模送電網

直流電流は、古いテクノロジーだ。テクノロジーの業界標準をめぐる世界最初の闘いの主題は、直流と交流だった。1880年代に始まったこの闘いは「電流戦争(War of Currents)」と呼ばれ、トーマス・エジソンとエジソンの元愛弟子のニコラ・テスラとの争いだった(「]] 」参照)。

闘いの第一段階は交流が勝利した。変圧器の開発によって、電圧を上げて長い距離を送電し、家庭や企業などの需要地で電圧を下げられるようになったからだ。だが、多くの技術が進歩したことで、直流の機能性が大幅に向上した。送電網の設計と接続に関する新しい方法の可能性が開かれたのだ。

1950年代ごろから、一部の企業や国が次世代高圧直流送電網を採用し始めた。交流送電は送電距離が長いほど送電ロスが大きいため、直流送電システムは交流送電よりもずっと高容量の送電ができる。重要なのは、直流を介せば米国の主要3地域に分断された「非同期」送電網間での送電が可能になる点だ。これで各地域間で電力を融通できる。

この2年というもの、アイオワ州立大学工学部のジェームス・マッカリー教授は、米国エネルギー省による2億2000万ドルの送電網近代化構想の一環として、3つの地域の巨大な送電網を接続する最善の方法を研究してきた。

この問題を解決する方法の1つは、各地域に近接する既存の変換所を拡大することだ。そうすれば東西両地区へもっと多くの送電ができるようになる。変換所で交流を直流に変換して送電網間の「つなぎ目」を横切った後、交流に戻すことで2つの送電網は接続できる。

別の方法は、東西に走る2地点間送電線を3つ建設し、各送電網の中心から他の送電網の中心を接続することだ。3つめの解決方法は、米国の多くの地域に広がる長距離直流送電線、いわゆる「大規模送電網(Macro Grid)」の建設だ。フロリダ州の付け根の北西部から、南部を横切り、西部で数地点を縦横に結び、北はシアトル、東はミネアポリス、そしてルイジアナに戻ってくるような送電網である。

マッカリー教授の研究チームが、3つのシナリオについて15年分のシミュレーションができるモデルを開発した。シミュレーションの結果、どのシナリオでも大きな経済的メリットがあることが分かった。送電システムに1ド …

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