2018年、米国ではインターネットの未来をめぐる壮大な権力闘争が展開される。その結果は、ベライゾン(Verizon)、コムキャスト(Comcast)、AT&Tといったブロードバンド企業が家庭や職場に配信するオンライン・コンテンツをどれだけ支配するかを決めるだろう。
闘いの引き金となったのは、2017年12月に米国連邦通信委員会(FCC)が実施した採決だ。採決はインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)が法律で認められたコンテンツの閲覧をブロックしたり、配信速度を遅くしたりしないようにしていた、オバマ政権時代のネットワーク中立性規則を廃止するものだった。規則は米国連邦取引委員会(FTC)が監視する、ずっと軽い規制の枠組みに置き換えられる予定だ(「米国の「ネット中立性」規則廃止、何が問題か?」参照)。
FCCの採決はネットワーク中立性の議論を形成してきた党派の政治姿勢が明らかになった。FCCの5人の委員のうち、共和党の3人の委員は規則の廃止に賛成票を投じ、一方で残りの2人の民主党の委員は存続に賛成した。
ネットワーク中立性規則の支持者は、規則を廃止した結果、ブロードバンド企業が自社のコンテンツを競合より優遇して他社の情報を頻繁にブロックし、割増料金を支払わせて他社よりも速いトラフィックで配信する、オンライン上の「追い越し車線」を提供するのではないかと懸念している。資金力のある老舗企業をスタートアップ企業より優遇する動きだ。
これを阻止しようと、インターネットの活動家や一部の政治家はFCCの決定を覆す、あるいは法律によってネットワーク中立性を再び守るための動きを活発化している。
以下は、2018年にネットワーク中立性規則の支持者が採用すると見られる主な戦略だ。
法廷で会おう
「法廷でFCCに挑むためのあらゆる機会を探しています」と、開かれたインターネットを推進する非営利の公益団体「パブリック・ナレッジ(Public Knowledge)」のクリス・ルイス副会長は話す。フリー・プレス(Free Press)のような他の権利擁護団体もFCCの決定を覆すために、ニューヨーク、ワシントン、ミネソタといった州の司法長官と連携して訴訟を起こすつもりだと述べている。彼らは、FCCが2015年に規則を導入した時には非常に強く擁護したにも関わらず、規則の廃止にあたって独断的な行動を取ったと主張する可能性が高い。 …