KADOKAWA Technology Review
×
2018年に警戒すべき、
6つのサイバー脅威
Benedikt Luft
カバーストーリー Insider Online限定
Six Cyber Threats to Really Worry About in 2018

2018年に警戒すべき、
6つのサイバー脅威

サイバー攻撃の脅威に対する防御技術が進歩しても、ハッカーたちはそれを突破するために様々な手法で攻撃を仕掛けてくる。2018年も引き続き、企業はサイバー攻撃に対してより一層の警戒をする必要があるだろう。ここではAIを使ったハッキングや暗号通貨採掘のためのコンピュータ処理能力の窃取など、特に注意すべき6つの重大なサイバー脅威について説明する。 by Martin Giles2018.01.15

ハッカーたちは、常に新しいターゲットを探し、防御を突破するための道具に磨きをかけている。この記事では2018年に気をつけなければならない6つの重大なサイバー脅威について説明する。

さらなる大規模なデータ漏洩

2017年、信用情報サービスのエキファックス(Equifax)にサイバー攻撃がしかけられ、米国人口の半数近くの社会保障番号や誕生日などのデータが盗まれた。この事件は、ハッカーたちが大きなターゲットを狙っていることを改めて認識させるものだった。ハッカーたちは2018年にも、多くの機密情報を持つ企業を狙って来るだろう。セキュリティの専門家で『Future Crimes』(邦題『フューチャー・クライム――サイバー犯罪からの完全防衛マニュアル』青土社刊)」の著者であるマーク・グッドマンは、個人のWeb閲覧履歴などの情報を持っているデータブローカー企業が特にターゲットになりやすいと考えている。「こういった企業は規制されていません。一企業から情報が洩れただけでも、大混乱が巻き起こるでしょう」と、グッドマンはいう。

クラウド上のランサムウェア

2017年は、ランサムウェアによる攻撃が疫病のように蔓延した一年だった。英国の国民保健サービスやサンフランシスコのライトレール網(大江戸線のようなコンパクトな車両を使った交通網)、そしてフェデックス(FedEx)のような大企業が、攻撃のターゲットとなった。ランサムウェアは比較的単純な形態のマルウェアであり、防衛を突破し、強力な暗号化によってコンピューター上のファイルにロックをかけてしまう。ハッカーたちは、暗号化されたデータを元に戻すためのデジタル・キーと引き換えに金銭を要求するのだ。被害者は、しばしば金銭を支払ってしまう。とりわけ、暗号化されたデータをバックアップしていなかった場合にその傾向は顕著だ。

そのため、ランサムウェアはサイバー犯罪者たちの間で人気になった。犯罪者たちはしばしば、追跡が難しい暗号通貨での支払いを要求する。ワナクライのようなとりわけ性質の悪いランサムウェアのいくつかは、何百何千台ものコンピューターに感染した(「世界を震撼させたワナクライ攻撃、被害の深刻化を防げた理由」を参照)。2018年には、企業のためのデータを大量に蓄えているクラウド・コンピューティング・ビジネスが、ランサムウェアのターゲットになるだろう。こういった企業の中には、電子メールや画像ライブラリといった消費者向けサービスを提供している企業もある。グーグルやアマゾン、IBMといった最大級のクラウド事業者は、容易にハッキングされ …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Why handing over total control to AI agents would be a huge mistake 「AIがやりました」 便利すぎるエージェント丸投げが危うい理由
  2. OpenAI has released its first research into how using ChatGPT affects people’s emotional wellbeing チャットGPTとの対話で孤独は深まる? オープンAIとMITが研究
  3. An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る