英国が欧州連合(EU)を離脱すると、多数の移民が国外退去を余儀なくされる。だが、その移民の多くは、切実に求められている労働力を提供しており、 残される仕事を自動化してもその穴を埋めるのは難しい。
英国のEU離脱を支持する結果に終わった国民投票から18カ月が経ったが、離脱のさまざまな詳細に関する取り決めはいまだに完了していない。だが、離脱の大きな影響として大方が予想していることがある。それは、EU諸国からの移民の取り締まりだ。現にEU離脱の是非を問う国民投票後、移民はすでに減少している。英国国家統計局の報告書によれば、2016年6月までの12カ月間で33万6000人だった英国への純移住者数は、2017年6月までの12カ月間には23万人にまで減少している。減少数の4分の3は、英国のEU離脱の影響をもろに受ける、EU諸国からの移民だった。
この出来事は労働市場に深刻な影響を及ぼすだろう。コンサルタント会社のアクセンチュアによれば、現在英国で雇用されているEU諸国の労働者は160万人だが、そのうちの88%もの労働者には新しい規則で規定されるビザ取得資格がない。英国の雇用率が低かったら、その仕事の空きはすぐ埋まるだろう。だが、現実は違う。実際のところ、英国の失業率は1975年以来、最低の水準にある。
英国の現政権を支える一部の政治家は、自動化が解決策になり得ると主張している。当時、環境・食糧・農村地域省の大臣だったアンドレア・レッドサムは、「労働力を補完する新しいテクノロジーは山ほど」あると言った。フィリップ・ハモンド財務大臣は、「資本を投下すれば講じられる自動化の手段があるのに、安価な労働力を利用する機会があるばかりに講じられていません」と言った。保守派の議員であるアラン・マークは、人工知能(AI)とマス・オートメーションをEU離脱後の英国産業の基盤にしなければならないと主張した。
アイデアとしては悪くない。だが、ロボット工学とAIの力は、EU離脱後の英国の労働力不足を解消するには到底及ばない。
問題の多くは、労働力不足に見舞われる多くの仕事が簡単に自動化できないことだ。オックスフォード大学の移民観測所が発表した、移民労働者の就業者数が英国で最も多い職業および産業部門に関する分析によれば、最も大きな影響を受けるのは、清掃、衣料品製造、接客、ヘルスケアなどの職業だ。だ …