カリフォルニアの企業が新奇な、今までの流れを変える可能性を秘めたある種のコンピューター上で、一般的な形式の機械学習が実行できることを実証した。
量子コンピューターは、反直観的な量子物理学の原理を利用して、特定の種類の計算を想像を絶する速度で実行する。この功績は、量子コンピューターが、テック業界の最も白熱した領域である人工知能(AI)に大きな衝撃を与えるかもしれない。
カリフォルニア州バークレーに拠点を置くスタートアップ企業、リゲッティ・コンピューティング(Rigetti Computing)の研究者は、同社のプロトタイプの量子チップの1つを用いて、クラスタリング・アルゴリズムを実行することに成功した。リゲッティの量子チップは、精密な超冷却装置の中に収容された超伝導デバイスだ。クラスタリングは機械学習の手法の1つであり、データを似たようなグループへと整理するのに使われる。リゲッティはまた、19量子ビット(またはキュービット)を処理できる新しい量子コンピューターも開発しており、「フォレスト(Forest)」と呼ばれるクラウド・コンピューティング・プラットフォームを通して利用可能だ。
しかしながら、今回の実証実験の成功がすぐさま、量子コンピューターがAIに革命を起こすことを意味するものではない。量子コンピューターは非常に新奇なものであり、何がキラー・アプリケーションになり得るのかよくわかっていない。例えば、リゲッティの今回のアルゴリズムにしても、何ら実践的な用途はなく、量子機械上でクラスタリングのタスクを実行するのにどれだけ役に立つのか、はっきりしているわけでもない。
それでも、リゲッティのソフトウェアとアプリケーションを統括するウィル・ゼン博士は、今回の研究は量子機械の構築に向けた鍵となるステップになると主張する。「これは量子コンピューターの実用的なアプリケーションに向けての新しい道筋なのです。クラスタリングは非常に基本的かつ基礎的な数理問題です。これが可能だと証明した人はまだ誰もいません」。
実用的な量子コンピューターを開発する取り組みが非常に盛り上がっている。IBM、グーグル、インテル、マイクロソフトといった巨大テック企業、また十分な資金援助を受けた数社のスタートアップ企業が、まったく新しいコンピューティング …