2000年、当時わずか8歳の私がAOLインスタント・メッセンジャー(AIM)を最初に使った日のことだ。すでにAIMの「プロ」だった2人のいとこは、ちっぽけなオンライン・チャットルームで興奮したメッセージを私に浴びせ続けていた。2人に置いてけぼりにされないように速くタイピングしようとして、私の指はプラスチックのキーボード上をぎこちなく動き回る。当時、私はボストンで、いとこはニューヨークにいた。それでも「すごい、いつでもチャットできるね!!!!!」。
興奮していたのは私たちだけではなかった。AIMは、1997年に登場し、1990年代終わりから2000年代初めにかけて、多くの人の連絡手段として人気があった。AIMは、今日知られているようなインターネットにおける文化や意思疎通を形成するのに役立った。みんながLOL(Laughing Out Loud、日本語の(笑)のような意味)といった略語や絵文字などのチャット表現を使いこなし、どこにいても誰かと常に接触したいという気持ちを持つようになったのは、AIMのおかげなのだ。
しかし、発表から20年が経過し、AIMの人気は衰え、フェイスブック、インスタグラム、スラック(Slack)などのモバイルを主としたコミュニケーション・プラットホームに主役は移った。ピークの2001年にはAIMのアクティブユーザーは3600万人いたが、2017年夏の月間ユニークユーザー数はわずか50万人でしかなかった。それゆえ、10月初旬、携帯電話事業者ベライゾン(Verizon)の子会社オース(Oath:AIMを生み出したAOLとYahoo!の合併会社)は、インターネット黎明期に大きな貢献をした巨人、AIMを12月15日に終了すると発表した。
この判断は理解できるが、私にとって、インターネット・ライフに導いてくれた極めて重要なAIMの消滅を目にするのはほろ苦い思いだ。だから、自分にできる最高の方法でAIMにさよならを言うことにしよう。どのように登場したかを振り返ることで、様々な意味で、これからもいつでも一緒だと思えるだろう。
1997年2月、AOLエンジニアのバリー・アッペルマンにある特許が与えられた。「ユーザー定義可能なオンライン共有ユーザーリスト(User definable on-line co-user lists) …