がん治療のための分子的な「ロジック」の開発に取り組む創業2年の会社が、ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)に1億7500万ドルで買収された。遺伝子操作された免疫細胞を使うさまざまな治療法に対する関心が高まっている中での買収劇だ。
買収されたスタートアップ企業のセル・デザイン・ラボ(Cell Design Labs)は、医薬品を何ひとつ生み出していないにもかかわらず、高値が付けられた。がん医療の最も有望な手法の1つを巡って繰り広げられている買収熱の一端を示すものだ。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校の合成生物学者ウェンデル・リン教授が設立したセル・デザイン・ラボは、T細胞の内部に埋め込む「プログラム」の作成を手がける。T細胞は免疫系に存在するキラー細胞であり、プログラムにより新たな能力が得られる。
8月以降米国では、ヒトのT細胞を遺伝的に再プログラムし、がん細胞を見つけて破壊させるようにする新しい治療法が2件承認された。
「キメラ抗原受容体発現T細胞療法(CAR-T)」と呼ばれるこの治療法は、革新的ではあるが莫大なコストがかかる。1回の治療におよそ50万ドルかかるが、治癒率は高い。ギリアドはすぐさま120億ドルを支払って、治療法の1つを …