多くの研究は次のように結論づけている。地球の気温の上昇は熱性ストレスや熱射病のリスクを上昇させ、生産性や経済生産高を減少させ、世界的な貧富の格差を拡大し、より激しい暴力を誘因する(「Hot and Violent」を参照)。
スタンフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校、米国財務省の研究者による新しい研究は、極度の暑さはたとえ短期間であっても、子どもと子どもの将来の経済面に長期的な影響を与える可能性があると提唱している。12月4日に米国科学アカデミー紀要に発表された論文によると、産まれる前の期間を含めて、個人の幼児期における酷暑はその子どもの30年後の収入に影響する可能性があるという。受胎から1歳までの間に、摂氏32度強あるいは華氏90度弱にまで気温が上がる日が1日あるごとに、30歳における平均所得が0.1%減少する。
論文では、高い気温がどのようにして低所得に結び付くのかという難しい問題に直接は取り組んでいない。胎児と乳幼児は「温度調節機能と交感神経系が完全には発達していないため、高い温度に特に敏感である」と注記するにとどめている。先立つ研究のいくつかは、幼児期における極端な気温を出生率低下と乳幼児死亡率の上昇に関連付けている。そして研究分野全体は、胎児期から乳幼児期における健康面での衝撃が成人期に与える影響を追跡する「健康と病気の発育上の起源(DOHaD:developmental origins of health and disease)パラダイム」の周辺で発展してきた。
より高い気温が、結果的に成人してからのより低い収入にもしかするとつながる可能性がある道筋はいくつかある。認識力の減退、健康面での継続的な問 …