先の選挙によってワシントン州議会上院を掌握した民主党は、これまで米国のどの州でも実現できなかった気候変動政策である「炭素税」の導入を、2018年早々にも強く進めていく構えだ。
11月のワシントン州議会の補選後、エネルギー委員会の委員長に就任したレベン・カーライル州上院議員は、「炭素税と政策投資戦略を全面的に導入するつもりです」とMITテクノロジーレビューのインタビューに答えた。カーライル委員長は具体的な税額は明らかにしなかったが、再生可能エネルギー源や送電網の近代化、交通機関の電化、それに州の中でもとりわけ低所得者層の気候緩和に新たな税収を活かしていくと話した。
ワシントン州は、より厳しくより広範な炭素税やキャップ・アンド・トレード制度(全体の排出量を定めて、個々の企業などに割り当て、実際の排出量との差分を取引する制度)を導入、または新たに推進しようとしている州の1つだ。こうした政策をすべて合わせれば、今後10年間で、米国の炭素排出量を最低でも数億トン減らすのに役立つと見られており、パリ協定や「クリーン・パワー・プラン(「パリ協定離脱をトランプ大統領が発表、再交渉も要求」参照)」などの温暖化防止の努力をなし崩しにしようとするトランプ政権への厳しい批判圧力となる。
温暖化防止を進めるいくつかの州と議員は過去にも同様の法案の可決を目指してきたが、議会や市民の支援を得られず、実現には至らなかった。しかし、時代に逆行するホワイトハウスの環境政策や、11月に実施された補欠選挙での民主党の躍進、世論の変化によって、「法案のいくつかは実現できる可能性が高くなってきました」とスタンフォード大学ウッズ環境研究所のマイケル・ワラ上級研究員はいう。
米国で提案中、または今後提出される予定の法案には、次のようなものがあ …