KADOKAWA Technology Review
×
【3/14東京開催】若手研究者のキャリアを語り合う無料イベント 参加者募集中
ニュース Insider Online限定
Physicists Are Reinventing the Lens, and Imaging Will Never Be the Same

超薄型レンズにブレークスルー、チップ製造技術で低コスト量産化

ハーバード大学の研究者が、マイクロチップのパターンを作成する手法であるフォトリソグラフィを使って、超薄型のレンズを作成することに成功した。収差などの問題がない高性能で安価なレンズを大量生産できるので、機器内蔵型カメラや望遠鏡など様々な用途での利用が期待される。 by Emerging Technology from the arXiv2017.12.19

レンズは文明自体の発達と同じくらい長い歴史を持つ。古代のエジプト人、ギリシャ人、そしてバビロニア人は石英を磨いてレンズを作り、単純な拡大鏡として使っていた。後の17世紀に、科学者がレンズを組み合わせて、望遠鏡や顕微鏡など私たちの宇宙の見方やその中での立ち位置を変えることになる機器を発明した。

現在、レンズはフォトリソグラフィのプロセスによって再発明されている。フォトリソグラフィは、平らなガラスのシートにサブ波長のパターンを刻む技術だ。マサチューセッツ州ハーバード大学の大学院生アラン・シーたちは、従来を超える制御精度で光を散乱するようにパターンを配置する方法を示した。研究成果となる「メタレンズ」は画像作成に革命をもたらし、光学的処理を新時代に導くと話している。

レンズ製作はいつの時代も難しいビジネスだった。レンズは一般的に、溶融ガラスか二酸化ケイ素を型に流し込んで、定着させてから必要な形に削って磨いて作られる。これは時間のかかる作業で、マイクロチップ上の光を感知する部品の製造プロセスとは明確に異なっている。

そのため、これまでシリコンチップを作っていたのと同じようなプロセスでチップ上にレンズを作れれば、非常に有益だろう。レンズを他のマイクロ電子部品と同じ工場で、同時にさえ製造できる。

シーたちはこのプロセスが今、いかにして可能であるかを示した。鍵となるアイデアは、光の波長より短い小さなパターンは光を操作できるということだ。たとえば白色光は、光の波長と同じスケールの多数の平行な溝が彫られた表面で反射すると、構成要素の色に分けられる。

物理学者はいわゆる回折格子について何世紀にも渡って研究してきた。しかし、回折格子のアイデアは、フォトリソグラフィによって様々なパターンを作ったり、形や方向を変えたりすることで大きく発展する。

1960年代以来、フォトリソグラフィは、より小さいパターンをシリコンチップ上に作成してきた。1970年、この手法によってシリコンに約10マイクロメートルの形を刻むことができた。1985年まで、パターンのサイズは1マイクロメートルにま …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. One option for electric vehicle fires? Let them burn. EV電池火災、どう対応?「燃え尽きるまで待つしかない」と専門家
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 好評につき第2弾!研究者のキャリアを考える無料イベント【3/14】
  3. One option for electric vehicle fires? Let them burn. EV電池火災、どう対応?「燃え尽きるまで待つしかない」と専門家
▼Promotion
U35イノベーターと考える 研究者のキャリア戦略 vol.2
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る