地球上のすべての生物は、A(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、T(チミン)の4つの文字を使って表わされる遺伝子を使って、生命を維持するための指令をデオキシリボ核酸(DNA)に保存している。
たった1つの例外を除いて、だ。
サンディエゴにあるフロイド・ロムスバーグ博士の研究室とロムスバーグが創立したスタートアップ企業では、拡張された遺伝子コードを持つバクテリアを育てている。このバクテリアは、遺伝子情報を表す文字を2つ余計に持っている。ロムスバーグ博士がXとYと呼ぶ 「自然界には無い」ペアである。
スクリプス研究所(Scripps Research Institute)の研究室の責任者であるロムスバーグ博士は2014年、新たなDNA成分を保管するために、まず大腸菌の遺伝子を修正した。現在このバクテリアが、拡張された遺伝子コードを使用して、異質な成分を含むタンパク質を初めて生成している。
「情報の保管と復元のすべてのステップが、自然界に無い遺伝子文字のペアによって媒介されるという概念を立証したかったのです。それはもはや好奇心ではありません」とロムスバーグ博士は言う。
このバクテリアは「半合成」生物と名付けられている。拡張された遺伝子文字を保持しているが、細胞のほかの部分は元のままであるからだ。それでも、マサチューセッツ工科大学(MIT)のリンカーン研究所の生物工学者であるピーター・カー上級研究員によれば、科学者たちが「合成生物学(synthetic biology)」と呼んでいる生命体の再設計に向けた第一歩となるだろうという。
「生命体を私たちが一体どこまで操作できるのかはわかりませんが、この論文により遺伝子が4つの文字に制限されないことが …