自律自動車の屋根で回転している象徴的なレーザー・センサーが、完成度を上げてきた。世界市場をリードするライダー(LIDAR:レーザーによる画像検出・測距)メーカーのベロダイン(Velodyne)は、現在販売されているライダー・センサーよりも視野が広く、精度の高い新型デバイスを完成させた。大きさも、従来の高解像度デバイスに比べて5分の1だ。
ライダー・センサーは、近くの物体にレーザー光線を照射しその反射を利用して、精度の高い周囲の3Dマップを作り上げるもので、自動運転自動車に欠かせない部品だ。市販製品としてこれまで最高とされていたのは、ベロダインのHDL-64Eで、クルクルと回りながら64本のレーザー光線を同一方向に照射するコーヒー缶ほどの大きさのものだ。64本のレーザー光線はそれぞれ0.4度の角度を付けて照射され、到達距離は120メートルだ。
だが、このスペックでは高速で走行する車が不測の事態に巻き込まれても役に立たない。時速約112キロメートルで走る車は、わずか4秒で障害物に反応しなければいけない。角度分解能も低すぎるため、遠くの障害物を認識できない。レーザー光線が広がりすぎて可視画像を返せないからだ。結果として、たとえライダー・センサーが搭載されていても、多くの自律自動車は他のセンサーからのデータを使って障害物を認識している。
MITテクノロジーレビューの「2017年版35歳未満のイノベーター35人」にも選ばれた、ベロダインのライバル企業ルミナー(Luminar)のオースティン・ラッセル最高経営責任者(CEO)は、「結論はとてもはっきりしています」と以前、MITテクノロジーレビューに語ったことがある。「200メートル先まで見えるライダーが必要です。それに、ただ見えるだけではダメです。障害物があるというだけでなく、それが何なのかが見えなくてはいけないのです」。
そういった懸念を背景に、世界トップレベルの無人乗用車プロジェクトでは独自のライダー・システムが開発されている。そのうちの2社、ウ …