KADOKAWA Technology Review
×
【3/14東京開催】若手研究者のキャリアを語り合う無料イベント 参加者募集中
完全な自律自動車へ向けて基幹部品ライダーも進化中
Velodyne
ニュース 無料会員限定
Lidar Just Got Way Better—But It’s Still Too Expensive for Your Car

完全な自律自動車へ向けて基幹部品ライダーも進化中

完全な自律自動車の実現には高度なセンサーが必要だ。中でも重要な部品である「ライダー(LIDAR)」をめぐっては、昨年12月に市場トップのベロダインが従来よりも性能を大幅に引き上げた新製品のサンプル出荷を開始した。価格は未定だが、量産化されればロボット・タクシーや自律トラックに搭載されそうだ。 by Jamie Condliffe2018.02.01

自律自動車の屋根で回転している象徴的なレーザー・センサーが、完成度を上げてきた。世界市場をリードするライダー(LIDAR:レーザーによる画像検出・測距)メーカーのベロダイン(Velodyne)は、現在販売されているライダー・センサーよりも視野が広く、精度の高い新型デバイスを完成させた。大きさも、従来の高解像度デバイスに比べて5分の1だ。

ライダー・センサーは、近くの物体にレーザー光線を照射しその反射を利用して、精度の高い周囲の3Dマップを作り上げるもので、自動運転自動車に欠かせない部品だ。市販製品としてこれまで最高とされていたのは、ベロダインのHDL-64Eで、クルクルと回りながら64本のレーザー光線を同一方向に照射するコーヒー缶ほどの大きさのものだ。64本のレーザー光線はそれぞれ0.4度の角度を付けて照射され、到達距離は120メートルだ。

だが、このスペックでは高速で走行する車が不測の事態に巻き込まれても役に立たない。時速約112キロメートルで走る車は、わずか4秒で障害物に反応しなければいけない。角度分解能も低すぎるため、遠くの障害物を認識できない。レーザー光線が広がりすぎて可視画像を返せないからだ。結果として、たとえライダー・センサーが搭載されていても、多くの自律自動車は他のセンサーからのデータを使って障害物を認識している。

MITテクノロジーレビューの「2017年版35歳未満のイノベーター35人」にも選ばれた、ベロダインのライバル企業ルミナー(Luminar)のオースティン・ラッセル最高経営責任者(CEO)は、「結論はとてもはっきりしています」と以前、MITテクノロジーレビューに語ったことがある。「200メートル先まで見えるライダーが必要です。それに、ただ見えるだけではダメです。障害物があるというだけでなく、それが何なのかが見えなくてはいけないのです」。

そういった懸念を背景に、世界トップレベルの無人乗用車プロジェクトでは独自のライダー・システムが開発されている。そのうちの2社、ウ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI crawler wars threaten to make the web more closed for everyone 失われるWebの多様性——AIクローラー戦争が始まった
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 好評につき第2弾!研究者のキャリアを考える無料イベント【3/14】
  3. From COBOL to chaos: Elon Musk, DOGE, and the Evil Housekeeper Problem 米「DOGE暴走」、政府システムの脆弱性浮き彫りに
  4. What a major battery fire means for the future of energy storage 米大規模バッテリー火災、高まる安全性への懸念
  5. A new Microsoft chip could lead to more stable quantum computers マイクロソフト、初の「トポロジカル量子チップ」 安定性に強み
▼Promotion
U35イノベーターと考える 研究者のキャリア戦略 vol.2
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る