年に一度の狂乱の日、ブラック・フライデーにウォルマートで働いたことがある人なら、大量になだれ込む買い物客やパニックに陥った客の行動に、どうにも対処のしようがないことを知っているはずだ。それが本当かどうかを知りたければ、自分で経験してみるしかない。だが、もうじき実質現実(VR)ヘッドセットを付ければ、この熱狂的な状況の真っ只中に立てるようになる。
私は店員として働いたことはないが、記者として取材したことがあるので、ブラック・フライデー当日の状況は知っている。VRを利用して従業員を訓練する企業を支援していているスタートアップ企業、ストライバー(Strivr)は最近、顧客企業であるウォルマートのために撮影したブラック・フライデー当日の慌ただしい様子を、ゴーグルを使って見せてくれた。すると、取材のときと同じように背中がぞくぞくした。
サンフランシスコとシリコンバレーにあるストライバーのオフィスで、アメリカン・フットボールの試合の真っ只中に立つ体験もした。そうした体験は、ストライバーが小売大手からNFLチームまで幅広い顧客向けに制作しているVR体験の一部だ。ストライバーは顧客企業と協力し、360度カメラとソフトウェアを使って専用のVR体験をすばやく制作している。VR体験は、あらゆる職種の人がスキルを磨き、店舗、競技場、そのほかの場所でスキルを活用するのに役立つ。
ストライバーの創業者、デレク・ベルク最高経営責任者(CEO)は次のように話している。「当社の製品の特徴は、まっさらなフライトシミュレーターを作り出し、そこに企業の仕事を当てはめるのです」。
VRはまだ広く使われていない。最良といわれるハードウェアであっても、あまりに不恰好で高価なため、大部分の人々にとっては時々使ってみたいという程度のものだ。また、VRゴーグルで出来ることも、それほど多いわけではない。VRゴ …