薬物依存症を遺伝子療法で克服する日はやってくるか
遺伝性疾患やがんの治療法として発展してきた遺伝子療法を使って、薬物依存症を治療しようとしている研究者がいる。マウスによる実験では、メタンフェタミンの興奮作用の減少を確認したという。 by Emily Mullin2017.11.22
異常なDNAを修復する遺伝子療法は、遺伝性疾患の治療法として、最近ではがんの治療法として発展してきた。しかし、アーカンソー医科大学のエリック・ピーターソン准教授(薬学、毒性学)らは、遺伝子療法の手法によってメタンフェタミンがもたらす高揚感を抑制することで、依存症を治療できるのではないかと考えている。
ピーターソンのチームはまず、抗メタンフェタミン抗体をコードする遺伝子をウイルスベクターへと導入した。次に、このウイルスを体内に導入することによって、体はメタンフェタミン抗体を生産するようになる。この抗体は、血管内を循環しているメタンフェタミンを捕捉することで、メタンフェタミンが脳に移動して愉快な気分を引き起こすことを防ぐ。ピーターソンらがマウスを用いて行なった実験によると、治療効果は8カ月にわたって継続し、脳 …
- 人気の記事ランキング
-
- Inside the race to find GPS alternatives GPSに代わる選択肢を、 地球低軌道で100倍強い 次世代測位システム
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #33 バイブコーディングって何だ? 7/30イベント開催のお知らせ
- Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
- Trajectory of U35 Innovators: Yoichi Ochiai 落合陽一:「デジタルネイチャー」の表現者が万博に込めた思い
- Cybersecurity’s global alarm system is breaking down 脆弱性データベースの危機、 「米国頼み」の脆弱性が露呈
- Why the US and Europe could lose the race for fusion energy 核融合でも中国が優位に、西側に残された3つの勝機