リード・ホフマンは「大いなる力には、大いなる責任が伴う」というのが好きだ。そういうとき、たいてい自分の名高いキャリアの中で関わった、リンクトイン(LinkedIn)の創業、采配を振るったペイパル(PayPal)、顧問として助言をしたマイクロソフトといったテック企業の名を口にする。しかし、ホフマンはビジネス界における自身の影響力と、市民活動、教育、技術を通じて世界を改善しようとする取り組みに資金提供する自身の試みについての話しているともいえる。
11月8日に、マサチューセッツ州ケンブリッジで開催されたMITテクノロジーレビュー主催のEmTechで、MITメディア・ラボの伊藤穰一所長との対談中、ホフマンは、そうしたプロジェクトのいくつかについて論じた。社会のためになるよう人工知能(AI)を開発する2つの組織、オープンAI(OpenAI)とMITメディア・ラボ、それに年1回の「不服従賞」についてだ。
ホフマンはまた、社会に変化を促すために自身の影響力を活用しようともしている。ここ何カ月か、ホフマンはベンチャー投資業界での性差別と嫌がらせを非難し、技術の進歩によって職を失った労働者への思いやりを呼びかけてきた。EmTechの舞台裏で、ホフマンはMITテクノロジーレビューに、技術と不平等との関係、そして自分がシリコンバレー文化のより有害な面と、どのように戦っているかについて語った。
——米国で増加している経済的格差と社会的格差について、どの程度テクノロジー産業に責任があるのでしょうか?
経済のグローバル化や貿易といった、多くのことが中流階級の仕事に圧迫感を生み出してきました。そして、5つの巨大テック企業だけではなく、テック企業全体が例外なく関わっていました。実際、グーグルやアップルが、何人の製造業の職を減らしてきたでしょうか。彼らに責任がないとは思いません。私たちは皆、この社会に共存しています。そして、大いなる力には大いなる責任が伴うのです。
——巨大テック企業といえば、世界的な技術基盤を持つ企業ですが、性差別主義者や人種差別主義者と言い表される負の傾向を覆すために何をすべきでしょうか?
変化は 複数のステップを経て起こります。よいステップの1つは、多様性がどれだけあるかの公表を始めたことで、そして自分はどこに位置していて、多様性の価値を高めるためにしていることについて話し合うことでした。個人的には、リンクト …