グレッグ・ワソースキーは、クラウド・コンピューティング・ソフトウェアを販売するセールスフォース・ドットコム(Salesforce.com)で採用担当として2年間勤務した後、開発部門への異動を希望した。問題は、ワソーキーがコンピューター・プログラミングに詳しくなかった点だった。「テクノロジーには以前からずっと興味がありましたが、自分の学位は言語学と実務研修に関するものでした。技術的なスキルはなかったんです」(ワソーキー)。
ワソースキーの異動願いは、現実味のないものと思われた。しかし、セールスフォースのオンライン学習プラットホーム、トレイルヘッド(Trailhead)で、職場や夜間、週末を利用して1週間に数時間、プログラミングを学ぶようになってから現実性を帯びてきた。1年経たないうちに2つのプログラム言語を習得し、セールスフォースのアプリケーション・デベロッパー認証を取得し、さらに顧客に対してセールスフォースのソフトウェアの設定をする業務を担当するようになった。
同じような状況に直面している労働者は多い。彼らは、テクノロジー関係の仕事に就くことで、給料が上がったり、キャリアの先行きがより明るいものになったりすれば、と望んでいる。だが、そうした人は技術的なスキルがなく、その取得方法も知らないのだ。もちろん、テクノロジーの知識は、参考書を読む、講義動画を見る、講師との1対1の授業を受ける、業界のメンター(助言者)を探す、といった伝統的な手法で得られるかもしれない。しかし、サンフランシスコを拠点とするセールスフォースは、年間の売上が84億ドルの世界最大のソフトウェア企業の1つである。自分自身で目標を持ち、オンラインでやり取りができるような研修こそ、世界中にいる2万6000人の従業員がスキルを習得できる効果的な手法であると考えるに至ったのだ。
セールスフォースは、そのための主なツールとしてトレイルを2014年に開発し、2016年から社内研修で使い始めた。現在では、全従業員にこのプラットホームの使用を推奨している。
まもなく、他の企業もトレイルと同 …