ここ数日間、現実を拡張して仕事をしている。特別なヘッドセットを装着してバーチャルなディスプレイをオフィスに追加し、現実の小型ノートPCを手に取らずに電子メールを打ったり、ニュースを読んだり、ツイートしたりできるようにしているのだ。バーチャルなオブジェも席に持って来た。熱くない可愛らしい炎をあげている小さく積み上げた丸太などである。
これらはすべて、メタ(Meta)製の1495ドルのデバイス「Meta 2」ヘッドセットが作り出している拡張現実(AR)の産物だ。メタはシリコンバレーのスタートアップ企業で、ARデバイスを大々的に売り出そうとしている会社のひとつだ。創業者のメロン・グリベッツCEO(最高経営責任者)は、MITテクノロジーレビューの「2016年版35 歳未満のイノベーター35人」に名を連ねた。開発者向け製品であるMeta2は高性能のコンピューターに接続して使う必要があるが、それでもマイクロソフトのAR用ヘッドセット「HoloLens(ホロレンズ)」(これもいまだに開発者向けの製品だ)の半額だ。より広い視野を持ち、とてもきれいな3次元画像を現実の環境に重ねて映し出す。
現実世界にデジタル要素を追加するというと、非常にかっこよく聞こえる。それがすなわち、筆者がずっと記事にしてきて、テストをして、何年も待ち望んでいたことだ。未来型デスクトップは、もうすぐそこまで来ていると言いたいところだ。しかし悲しいことに、はるか彼方というほどではないにせよ、正直なところ、少なくともまだ手の届くところにはない。
コンピューターを頻繁に使用する日常業務に拡張現実がどのように使えるか興味があったので、メタの「ワークスペース(作業空間)」のデモアプリに的を絞って試してみることにした。拡張現実の中で手振りをして、多くのWebブラウザーのウィンドウを立ち上げて自分の周囲に置き、YouTubeの映 …