イーロン・マスクがテスラの電気セミトラック(トレーラーの荷台部分をけん引するトラック)を本格展開するという野心的な計画を2017年夏に発表してから、業界関係者やバッテリーの専門家は計画の実現性について疑念を隠そうとしなかった。
研究者たちは、現在のリチウムイオン電池は重すぎるし、高価なので、大型トラック輸送という過酷な用途には適さないとずっと主張してきた。しかし、2017年8月のロイター通信の報道は、実現可能性について興味を掻き立てるものだった。ネバダ州陸運局の規制担当者とのやり取りの中でテスラが、自律運転テクノロジーを用いて、複数のトラックをプラトゥーン走行(複数の車両が車間距離を詰めたまま一つに連なって走行すること)させるテストを申し出たというのだ(「10-4, Good Computer: Automated System Lets Trucks Convoy as One」を参照)。
プラトゥーン走行の基本的なコンセプトは、複数のトラックがきっちりと整列して走行することで、空力抵抗を大幅に低減し、車隊全体のエネルギー効率を引き上げるというものだ。テスラは11月のイベントで電気トラックを公開するとしており、同社のこの戦略が脚光を浴びることは間違いない。
ロイター通信の報道を受けて、カーネギーメロン大学のバッテリーの研究者が実現可能性について綿密な調査をした。そして、十分な数のセミトラックがあれば、プラトゥーン走行によりコスト競争力を高められるとする研究結果を、10月26日のACS(アメリカ化学会) エナジー・レター誌に発表した。480キロ未満の移動距離を7台のトラックで走行する状態が最適で、この場合の空力抵抗は50%まで削減される。一方、より長距離の輸送では、依然としてべらぼうに高いコストとなる。
カーネギーメロン大学機械工学部のベンカット・ビスワナサン准教授は、同学部の大学院生であるシャシャンク・スリパッドとマシュー・グーテンバーグと共に分析を実施した。ビスワナサン准教授とスリパッドは、 …