KADOKAWA Technology Review
×
【3/14東京開催】若手研究者のキャリアを語り合う無料イベント 参加者募集中
人工知能から差別や偏見を排除できるのか?
Miguel Porlan
How to Root Out Hidden Biases in AI

人工知能から差別や偏見を排除できるのか?

米国では被告人を仮釈放すべきかどうか、裁判官に助言するソフトウェアが使われている。ローンの審査や人材採用に人工知能を活用する企業もある。こうした人生を左右する決定に使われるコンピューターから、差別や偏見を排除できるのだろうか? ハーバード大学のコンピュータ科学者であるシンシア・ドゥーワーク教授は、人工知能が公平に判断していることを確認する方法を開発している。 by MIT Technology Review Editors2017.10.26

アルゴリズム設計者やデータ・サイエンティストが、偏見や不公平について説明するのはなぜ難しいのでしょうか?

女性が働きにくい職場環境を例に考えてみましょう。「成功」の定義を、2〜3年間働き続けて昇進することと仮定します。過去のデータに基づいて予測すれば、女性を雇用するのはよい考えではない、となるでしょう。ここで重要なのは、歴史的な採用判断について話しているわけではないということです。たとえ採用基準から偏見を完全に払拭したとしても、現実として女性が働きにくい職場環境には相変わらず差別はあり続けるのです。より深い部分にある、構造的で、根深く、克服するのが困難な問題なのです。

私は機械学習と人工知能(AI)が誰と誰を対等に扱うべきかを判断するために、歴史や社会学、心理学の教養を持つ真の知識人と連携することが非常に役に立つと考えています。

コンピューターができないというのではなく、今はできないというのが私の意見です。AIが正しいモデルを身につけられるのはいつか。そのモデルが社会で現実に起きていることを反映できるようになるのはいつか。あなたが何の話をしているのか理解する必要があるのです。「すべてのモデルは間違っているが、中には役に立つモデルもある」という有名な言葉があります。

(聞き手:MITテクノロジーレビュー AI担当上級編集者 ウィル・ナイト)

人気の記事ランキング
  1. AI crawler wars threaten to make the web more closed for everyone 失われるWebの多様性——AIクローラー戦争が始まった
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 好評につき第2弾!研究者のキャリアを考える無料イベント【3/14】
  3. From COBOL to chaos: Elon Musk, DOGE, and the Evil Housekeeper Problem 米「DOGE暴走」、政府システムの脆弱性浮き彫りに
  4. What a major battery fire means for the future of energy storage 米大規模バッテリー火災、高まる安全性への懸念
  5. A new Microsoft chip could lead to more stable quantum computers マイクロソフト、初の「トポロジカル量子チップ」 安定性に強み
▼Promotion
U35イノベーターと考える 研究者のキャリア戦略 vol.2
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る