私たちの多くが実質現実(VR)にはやる気持ちを抱いている。高機能なヘッドセットはまだ高価であり、高性能のコンピューターに接続しなければならない。にもかかわらず、そのヘッドセットを使ってできることはそれほどは多くない。しかし、マイケル・アブラシュは遠い将来を見据えている。
アブラシュは、フェイスブックが買収したオキュラスVR(Oculus VR)の主任科学者として、VRの機能をいかに向上させるかに集中し、幅広い分野で研究を重ねている。例えば、VR空間を歩き回る際に仮想物体に光を当てる方法を改善するなど、さまざまな研究を行ってVRをより完成度の高いものにしようとしている。
また、かつてはビデオゲーム「クエイク(Quake)」の開発にオキュラスVRのジョン・カーマック最高技術責任者(CTO)とともに関わり、ゲーム・ソフトウェア制作会社バルブ(Valve)でも働いた経験を持つ。アブラシュは長らくVRに没頭してきたが、それでもまだVRについて話をする時、浮ついたような様子を見せる。アブラシュはMITテクノロジーレビューのインタビューの中で、オキュラスVRにおける研究の紹介と、VRの中で現実感を伴う体験を構築するために、コンテンツ作成者が心掛けなければならないことについて述べた。
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——VRを使用することが、私たちにとって長期的にどのような影響を及ぼすかについては、まだほとんどわかっていません。このことについて、あなたも研究していますか?
私たちは、VRが影響を及ぼす特定の要件について研究しています。たとえば、空間の奥行きを感じさせる焦点深度が、どのような違いを生み出すのかなどです。VRが総合的にどのように人に影響を及ぼすのかという点については、かなり大雑把な質問なので、どう答えていいかわかりません。まず、ユーザーがVRを長期間使うようになるまで、それを評価するのは非常に難しいと思います。そのためには、完成度を上げなければなりません。
——現実世界で他人が私たちを認識する場合、VRのようにじっくりと見る必要はあり …