出会い系サイトがもたらした、意外でポジティブな社会的影響
ネガティブな文脈で語られることが多い出会い系サイトは、実は社会にいい影響を与えているかもしれない。異人種間結婚の増加、離婚率の低下といったと驚くべき影響が指摘されている。 by Emerging Technology from the arXiv2017.10.19
ごく最近まで、パートナーとオンラインで出会うことなど考えられないことだった。出会い系サイトが登場したのは、1990年代に入ってからのことだ。
恋愛・結婚マッチングサイトのはしりである「マッチ・ドット・コム(Match.com)」は1995年に誕生した。「オーケーキューピッド(OKCupid)」のような新しい波が登場したのは、2000年代初頭のことである。そして2012年、出会い系アプリの「ティンダー(Tinder)」は交際の形態をさらに変えた。現在では結婚につながった交際の3分の1以上が、オンラインでの出会いから始まっている。
出会い系サイトが「出会う」ことに大きな影響を与えているのは明らかだが、最近では出会い系サイトが与える深刻な影響を示す証拠も出てきている。
50年以上にわたって、研究者たちは人々を相互につなぐ社会的ネットワークの性質を研究してきた。その結果、社会的ネットワークにはいくつかの特性があることが判明している。1つは、各ノード(ネットワークを構成する要素。この場合は個々人)はチェス盤や金網のようにすぐ近くにあるもう一方のノードと結びつくことだ。もう1つ明らかなのは、ノードが不規則に結びつくことである。しかし、実際の社会的ネットワークはどちらの性質にも似ていない。むしろ、近接する比較的小さなグループとは強く結びつき、より遠くにいる人とは緩くつながっている。
このような緩いつながりは、常に重要であることが判明している。「緩いつながりは、自分が所属する親しい友人とのグループと他のグループとの橋渡しとなって、大きなコミュニティを形成します」。イギリスのエセックス大学のジョスエ・オルテガ講師と、オーストリアのウィーン大学の修士学生、フィリップ・ヘルゴビッチはこう話す。
緩いつながりは、パートナーとの出会いに重要な役割を果たしてきた。多くの人は親友とは好んで付き合わない一方で、友人のグループでつながった人、たとえば友人の友人といったような人と付き合う傾向がある。社会的ネットワーク分野独特の言い回しをすれば、付き合う相手はお互いのネットワークに「埋め込まれている」と言える。
実際のところ、パートナーと出会っ …
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