KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
ニュース Insider Online限定
Google Reveals Blueprint for Quantum Supremacy

グーグルが量子超越性の実現にめど、数カ月内に実証も

グーグルの研究者たちが、超伝導ループを使って9量子ビットのシステムを開発することに成功した。量子ビット数を5から9に増やしたときのエラーの増加率から考えて、この技術で60量子ビットまで拡張可能だと語っており、量子超越性が遠からず実現する可能性が出てきた。 by Emerging Technology from the arXiv2017.10.10

量子コンピューティングの大いなる展望は、従来のコンピューターの能力をはるかに越える、圧倒的に複雑な計算を実行することにある。50キュービット(量子ビット)程度の量子コンピューターが世界最速のスーパーコンピューターを凌駕することは、物理学者の間では昔から知られている。

しかし、従来の計算能力の限界を超えること、物理学者が呼ぶところの「量子超越性」(従来型コンピューターを使うよりも、明らかに量子コンピューターでなければ処理できないほどの計算量を量子コンピューティングで処理できるようになること)を実現するのは、考えていたよりも難しいことが分かってきた。量子状態は繊細だ。くしゃみをすれば消えてしまう。このため物理学者たちは、量子コンピューターと量子処理装置を外部から孤立させるという現実的な課題で立ち往生している。そんなわけで、量子超越性は依然として遠い目標に思える。

だが、多様な量子アルゴリズムを実行できる汎用量子コンピューターを使わずに、量子超越性を実証できる方法があるかもしれない。代替案として物理学者が試し始めたのが、単一用途の量子システムだ。システムがその用途において、従来型のあらゆるコンピューターの能力を超えることを示せれば、量子超越性が初めて実証されたことになるだろう。しかし実際の方法については、これまで目処が立っていなかった。

2017年10月4日、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のチャールズ・ニールとグーグルのペドラム・ルーシャンが、量子超越性を実現する方法を見つけ、原理を証明できる装置の開発に初めて成功したと発表した。2人の研究により、数カ月のうちに量子超越性が初めて実証される可能性が出てきた。

まずは基本的な説明を少ししておこう。通常のビットに対するキュービットの大きな優越性は、状態を重ね合わせて存在できる点にある。通常のビットは1か0のどちらかだが、キュービットは同時に1にも0 にもなれる。

つまり、2個のキュービットは、4つの数字を同時に表すことができ、3個のキュービットは8つの数字を表せる。9個だったら同時に512。要するに、能力が飛躍的に上がることになる。

そんなわけで、従来のコンピューターを超えるのに、キュー …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る