熱気球操縦士のリチャード・バーニーは週末になるといつも、マサチューセッツ州中部周辺で色彩豊かな巨大気球に観光客を乗せて遊覧飛行をする。しかし、この前の日曜日は地元のコミュニティ・カレッジまで車を走らせた。気球とは違う飛行物の操縦を習うためだ。バーニーは「何か新しいことに挑戦したい」と言って、カメラを搭載した2000ドルのドローンを操るインストラクターを見つめた。「サイドビジネスを始められるかもしれません。地元の町の航空写真を撮影するのです」。
新しい職業としてドローン操縦士に賭けているのはバーニーだけではない。MITテクノロジーレビューが調査したところ、少なくとも全米で15のコミュニティ・カレッジ(公立の2年制大学)が現在、ドローン操縦士の養成課程を設けている。ドローン操縦士養成課程は昨年、急増した。商業的にドローンを操縦する者は試験を受けて「遠隔操縦士」の資格を取得しなければならないと、米連邦航空局(FAA)が規則を発令したからだ。
4年制大学や民間企業もドローン操縦士を養成しているが、コミュニティ・カレッジのプログラムは特に興味深い。転職を目指す成人を含む、多様なタイプの学生を引き込んでいるからだ。実際、多くのコミュニティ・カレッジにはドローンの授業がある。「労働力開発」や「労働力ソリューション」といった学部を設けて、実践的技能を教えている。これらは単位を取って大学を卒業するというより、即戦力で転職に役立つものだ。
卒業単位に含まれない課程が効果的かどうか判断するのは難しい。期間は週末1回から全学期に至るまで多岐に渡り、費用は130ドルから1250ドルだ。高校生から退職者までさまざまな年齢の人たちが受講できる。ただし、課程を終了した人たちが就職できる保証はない。ドローンの仕事に就いた学生の数を追跡している学校はないし、FAAやドローン産業を代表する業界団体「米無人機国際協議会(AUVSI)」も追跡調査をしていない。コミュニティ・カレッジは裏付けの乏しいデータを用いて、ドローン操縦士の養成課程を履修する理由や学習内容、新しい技能の活用計画について説明している。
たとえば、マサチュー …