「IoTチップ1兆個供給」
ARMの研究者に聞く、
孫正義構想の課題
ARMを買収し、「1兆個のIoT機器にチップを供給する」とぶち上げたソフトバンクの孫正義CEO。そのビジョンを実現するために解決すべき課題とは何か。ARM研究所の幹部に話を聞いた。 by Jamie Condliffe2017.09.26
地球上のほぼすべてのスマホに内蔵されているチップを設計したARMホールディングス。だが昨年、ARMを320億ドルで買収した日本の通信会社ソフトバンクは、スマホ以外での展開も念頭に置いていた。ソフトバンクはARMの低消費電力チップを、あらゆる種類の機器に組み込んでインターネットに接続する将来像を描いていたのだ。
ソフトバンクの孫 正義CEO(最高経営責任者)のリーダーシップの下、ARMは2035年までに1兆個の機器をオンライン化するチップを設計すると宣言した。世界中の人々が1人あたり130個以上の機器を持つことになる、驚異的な数である。MITテクノロジーレビューは、英国ケンブリッジで開かれたARM研究者サミットで、ARM研究所の共同研究ディレクターであるクリス・ドーランにインタビュー。計画を実現する上で最大の障壁とは何か、その壁をどう乗り越えようとしているのか、話を聞いた。
なお、下記のインタビューは、発言の主旨を明確にするために編集および要約したものだ。
現在、ARMで焦点を当てている研究について、いくつか挙げていただけますか?
1つはセキュリティです。セキュリティは今や、私たちが取り組んでいるあらゆる研究に関わっています。もう1つが、IoTに関する研究です。すでにほとんどの人が認識しているように、この2つは非常に密接に関係しています。孫CEOは以前から、セキュリティとIoTの関係について明確な考えを持っていました。人々が十分に安心と感じられるレベルまでセキュリティの問題が解決されない限り、IoTは普及しないということです。セキュリティだけではありません。データの摂理、つま …
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