MIT発ベンチャー・キャピタルが手ごわい技術に投資する理由
投資家は一般に、社会にとって非常に重要な分野であっても、成果を出すのに時間がかかる技術への投資は敬遠しがちだ。こうした「手ごわい」技術を手掛けるスタートアップ企業への投資に、マサチューセッツ工科大学(MIT)発のベンチャー・キャピタル・ファンドが名乗りをあげた。同社CEOに、投資にあたっての課題や投資先の最初の7社を選んだ理由を聞いた。 by Elizabeth Woyke2017.09.21
プロの投資家が投資を回収したいペースと、バイオテクノロジーやエネルギーといった分野のテック企業が安定した売り上げを生み出すのに必要なリードタイムの長さには、しばしばずれがある。
マサチューセッツ州ケンブリッジに本拠を置く新しいベンチャー・キャピタル・ファンドのジ・エンジン(The Engine)は、両者のギャップを埋めようとしている。その方法が、膨大な時間と資金を必要とする革新的テクノロジーへの投資だという。同社が9月19日に発表した第1号の投資先リストには、航空宇宙産業、先端材料、遺伝子工学、再生可能エネルギーといった分野のスタートアップ企業7社(Analytical Space、Baseload Renewables、C2Sense、iSee、Kytopen、Suono Bio、Via Separations )が名を連ねている。
エンジンの最高経営責任者(CEO)兼マネージング・パートナーを務めるケイティ・ レイは、これらのスタートアップ企業に長期的な資金や研究室設備、専門家の講演、顧問のネットワークを提供すると述べている。レイCEOは、資金や時間を要するテクノロジーへの投資にあたっての課題、ジ・エンジンがユニークなベンチャー・キャピタル・モデルの見本となる理由、さらにこの戦略が投資家に回収をもたらすと信じる理由について、MIT テクノロジーレビューに語った。
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「手ごわいテクノロジー」をどのように定義していますか?従来のベンチャー・キャピタル(VC)企業がこの分野に投資しないのはなぜだと考えますか?
エンジンが注目しているのは、半導体、先端材料、エネルギー、人工知能(AI)、バイオテクノロジー、IoTの分野です。「ディープ・ソフトウェア」にも関心があります。ディープ・ソフトウェアとは、真のアルゴリズムを特徴とし、開発に何年もかかるソフトウェアのことです。消費者向けアプリケーションに資金を提供するつもりはありません。手ごわいテクノロジーとは見なしていないからです。
ベンチャー・キャピタルたちはこれまでも、医薬品などの手ごわいテクノロジーの分野のいくつかに投資してきました。非常に長い時間枠と数多くの失敗を伴う大変難しい分野であるのは確かですが …
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