KADOKAWA Technology Review
×
ビットコインだけじゃない、
ブロックチェーンが実現する
医療ネットワーク大革命
Simon Landrein
カバーストーリー 無料会員限定
Who Will Build the Health-Care Blockchain?

ビットコインだけじゃない、
ブロックチェーンが実現する
医療ネットワーク大革命

ビットコインなどの仮想通貨の基盤となっているブロックチェーン技術は、保健医療業界にとっても非常に有効であることは間違いない。しかし、実現に向けては、採掘者の動機づけをはじめ、セキュリティやプライバシーなど解決すべき問題が多い。 by Mike Orcutt2017.09.21

ボストン市では26の異なる医療記録システムが使われており、それぞれが独自言語でデータを表現し、共有している。重要な情報はしばしば複数の施設に散らばっており、時折、最も必要とされているときにアクセスできなかったりする。このような状況は米国では日常的に起こっており、金銭的な損失だけでなく、時には人命が犠牲になることさえある。

こうした問題はブロックチェーンが解決するのに向いている、と話すのは、ボストンのベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのジョン・ハラムカCIO(最高情報責任者)だ。

医師が患者を診察したり、新しい処方を書いたりした時、患者がブロックチェーン(ビットコインの基盤となる分散型デジタル台帳)に、参照や「ポインター(参照先を示す値)」を加えることに同意したとしよう。このブロックチェーンは、ビットコインにおける決済情報の代わりに、重要な医療情報を、実質的に改ざんのない暗号化されたデータベースに記録する。データベースはコンピューターのネットワークによって整合性を維持されており、ソフトウェアを使って誰でもアクセスできる(「Why Bitcoin Could Be Much More Than a Currency」を参照)。医師がブロックチェーン上に記録するすべてのポインターは、医師が使っているシステムに依らずに患者の記録の一部として追加されるので、たとえば介護士であっても互換性の問題を気にせずに使えるようになる、とハラムカCIOは話す。

世界中の科学技術者や保健医療専門家は、ブロックチェーン技術を用いることで、医療記録を安全な方法で共有して、重要なデータをハッカーから保護し、患者が自身の情報をコントロールしやすくなると見ている。しかし、業界全体で医療記録 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Why handing over total control to AI agents would be a huge mistake 「AIがやりました」 便利すぎるエージェント丸投げが危うい理由
  2. OpenAI has released its first research into how using ChatGPT affects people’s emotional wellbeing チャットGPTとの対話で孤独は深まる? オープンAIとMITが研究
  3. An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る