VALU騒動でも注目された「ICO」とは何か?
日本では仮想株式のバリュー(VALU)が話題だが、ICO(新規仮想通貨公開)による資金調達は世界的なブームだ。米国では詐欺の危険性が指摘され、中国ではついに当局によってICOが禁止された。だが、さまざまな問題点を抱えても、ICOは次のイノベーションにつながる可能性を秘めている。 by Mike Orcutt2017.09.07
「ICO(Initial Coin Offering:新規仮想通貨公開)」がとてつもない人気を集めている。何十もの企業がこの斬新な資金調達の仕組みを通して今年だけで約150万ドルを調達した。フロイド・メイウェザーからパリス・ヒルトンまでセレブリティも熱狂の波に乗っている。「でも、ICOっていったい何なんだ?」もしこう思っていても心苦しく感じる必要はない。
似たような頭字語、IPO(Initial Public Offering:新規株式公開)を耳にしたことがあるはずだ。似ているのは意図的だ。ICOは実際に新規株式公開に似た方法で機能する。ただし企業の株を公開する代わりに、企業は「トークン(代用通貨)」と呼ばれるデジタル資産を公開する。
トークンの販売は、ビットコインを支えるブロックチェーンのテクノロジーを使って取引を認証することを除けば、クラウド・ファンディング・キャンペーンのようなものだ。トークンは株式資本の単なる代役ではない。株の持ち主は企業の株の代わりに、たとえばクラウド・ストレージ・スペースなどのサービスを見返りとして受け取る。この記事では、ますます人気が出てきているICOと、それがビジネスをひっくり返す可能性について追いかけよう。
最も人気があるトークン・システムである「ビットコイン」からはじめよう。ビットコインなどのデジタル通貨の多くは、ビットコインを使用したあらゆる取引を記録する、暗号化された元帳「ブロックチェーン」をベースにしている(“Why Bitcoin Could Be Much More Than a Currency”参照)。インターネットを通して接続された世界中のコンピューターが、オープンソースのソフトウェアを使用して各取引を認証する。これらのコンピューターの中で採掘者(マイナー)と呼ばれるものたちが、計算量の多い暗号パズルを解くのを競い、認証された取引の「ブロック」をチェーンに追加する。この仕事の代価として採掘者はトークン、つまりビットコインを手に入れる。
ブロックチェーンが機能するには採掘者が必要であり、トークンは採掘の経済的な見返りだ。トークンの中には、いくつかの方法で改造された新しいバージョンのビットコインのブロックチェーン上に構築されたもの、たとえばライトコインやZ …
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