スマホ進化はAndroidから
AR拡張Tangoの新世界
グーグルの新しい位置検知システムによって、拡張現実の利便性が高まる。 by Elizabeth Woyke2016.08.16
スマートフォンは、飛行機に乗り遅れないようにいつ出発すべきかを教えてくれ、空港までの道を音声ガイド付きで案内し、渋滞を避ける方法も示してくれる。しかし空港内の特定のカウンターまでの音声案内が欲しいと思っても、まだきでない。そのような機能を実現するには、建物の奥深く、GPSが届かない場所でも独力で詳細な位置を把握する機能が必要なのだ。最新の携帯電話にもこのような機能はない。
グーグルのエンジニアであるジョニー・リー研究員は、そのような事態に長い間フラストレーションを感じていた。大きな建物内で何かを探しているとき、なぜ「携帯を使うのをあきらめなくてはならないのか?」とリー研究員はいう。電話インタビューしたとき、リー研究員はシンガポールに出張中で、大型のモールで迷子になったと話した。モールに入場した途端、携帯電話が「役立たず」になったのだ。
しかしリー研究員がグーグルで開発中の位置センシングシステム「Tango」のおかげで、特に屋内において携帯電話の利便性が向上しようとしている。開発に4年近くを費やしているTangoは、センサーやコンピュータビジョン、画像処理を使い、空間と動きの認識能力を向上させている。ベースとなっているのは、エリア学習、深度センシング、動作追跡3つのテクノロジーだ。これらが一体となり、Tangoが搭載された電話は周囲のエリアについて学習し、記憶し、地図を作成する。さらに床や壁、物体とどれくらい離れているかを検知し、立体的な空間を移動している際の位置を把握できる。TangoではGPSやWi-Fi、Bluetoothなどの外部信号なしで精度が数cm単位になる。
レビューの対象
Tangoは位置の認識能力が非常に高く、インドアGPSよりも数段優れている。周囲の環境や仮想オブジェクトとのやり取りは新手法が使われる。たとえば新しいソファを探している場合は、Lowe’s(米国のホームセンター・チェーン)やWayfair(米国のネット型家具店)のTango搭載アプリが、どのスタイルがフィットするかを教え、自宅のリビングに置いたときのイメージを3Dで示してくれる。額縁を買うために絵画の大きさを測ったり、オンラインで売るためにタンスのサイズを知る必要があったりする場合は、Tangoが追跡と3Dセンシングのデータを使い、対象の大きさを計算する。定規や巻尺は必要ない。退屈なときは、「Phantogeist」を起動してみるのもいいだろう。PhantogeistはTangoを活用したゲームで、幽霊のような姿のエイリアンが、壁の裏側や床下から突進してくる。「Dinosaurs Among Us」は、米国自然史博物館がTangoを利用して作成したアプリ。自宅 …
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